主として女性ホルモン(エストロゲン)の低下により発生すると考えられている病気、すなわち更年期障害や骨粗鬆症、脂質異常症などの予防・早期発見・早期治療を目的とします。更年期の方々のQOL(生活の質)の向上と老年期へのスムーズな移行のために、生活習慣病や尿失禁、性交痛など年齢とともに現れてくる病気への対応も含めた中高年女性の総合的な健康の管理と維持、増進を目指しております。また、婦人科の病気で卵巣を閉経前に摘出された方の健康管理にも力を入れております。この分野におけるパイオニアとしての自覚をもって、女性の健康維持・増進のため少しでもお役に立ちたいと考えております。
主として子宮頸部の前がん病変である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の患者様や子宮頸がんの治療後の患者さんの管理をする外来です。近年、妊孕性温存が望まれる若年女性で子宮頸がんが発見されるケースが増加していることなどより、妊孕能温存治療の適応となる患者さんが増えています。初期子宮頸がんに対する妊孕能温存治療の需要が高まってきています。当科ではレーザー蒸散術、レーザー円錐切除術および広汎性子宮頸部摘出術などの妊孕能温存治療 を積極的に導入しています。また、子宮頸がんではヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが発がんなどに関与していることが知られており、本ウイルスの検出が治療後の再発の早期検出の一助となることが示唆されています。そこで当科ではHPVの検査を症例によって行うようにしており、今後子宮頸がんの患者さんのフォローアップに役立てればと努めています。
当外来では下記のことを目的として、専門の医師が担当しております。
当院で子宮体がんの治療を受けられた方のフォローアップ外来です。受診していただく間隔は、治療後の日数や再発のリスクにより異なります。細胞診、腫瘍マーカー(血液検査)に加え、超音波検査、CTやMRI、また最近ではPETなどの画像検査を適宜施行しながら、慎重かつ細心にフォローアップを行っております。
近年、晩婚化や少子化といったライフスタイルの変化により、妊娠を希望する年齢の方の子宮体癌や複雑型子宮内膜異型増殖症が増えています。これらの病気の標準治療は子宮摘出を含む手術療法であり、その後の妊娠は不可能になってしまいます。しかし、一定の条件を満たした方に対してはホルモン剤を用いて治療をする選択肢があります(高用量黄体ホルモン療法)。当外来では、高用量黄体ホルモン療法および治療後のフォローアップを行っております。
家系内に子宮体がんをはじめとして複数の種類のがん(大腸がん、乳がんなど)が多発するなど遺伝的背景をもつ体がん患者さんに対しては、当院遺伝相談外来とも協力して、諸検査や遺伝カウンセリングにも対応できるシステムを備えております。
卵巣がんは一般に初期のうちは症状が乏しく、また有効な検診法が確立していないため、進行がんの状態で発見されることが多い病気です。 当外来では専門の医師による卵巣がん治療後のフォローアップを中心に行っております。一般的な産婦人科の診察に加えて、腫瘍マーカー測定を含む採血検査、超音波断層法、CT、MRI、PET等の画像検査を定期的に行い、再発の有無を確認していきます。またそれ以外にも、治療に伴う合併症や副作用のケア、手術後の卵巣欠落症状に対する対処、社会復帰のための支援等のご相談も行っております。“遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)”をご心配される方には、専門医による遺伝カウンセリングをご案内することができます。また、国内外の施設と協力して新しい医薬品の開発やより有効な治療法の確立を目指した臨床試験および治験も積極的に行っておりますので、担当医にご相談ください。
ご本人だけでなく血縁者にがんが多数発生している家系のうち、一部は遺伝が原因で腫瘍が発生しているのではないかと考えられています。このように腫瘍が家系内に集積する疾患を、家族性腫瘍と呼んでいます。婦人科腫瘍領域においても家族性腫瘍が存在します。家系内に子宮体がん、大腸がん、泌尿器がん等の方がいらっしゃる場合、リンチ症候群という疾患である可能性があり、また 卵巣がんや乳がんの家族歴がある方の場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)である可能性があります。これらの疾患は遺伝子診断により診断することも可能となっています。近年、家族性腫瘍は発がんの分子生物学的メカニズムの解明とリスク低減手術・早期発見のためのサーベイランスといった予防対策の両面から注目を集めており、当科としてもこれらの方々のご相談に応じると共に、場合によっては当院の遺伝相談外来に紹介いたします。 すでに、当科では倫理委員会の承認と臨床遺伝専門医のカウンセリングのもと、HBOCの患者様に対する腹腔鏡などを用いた低侵襲なリスク低減手術を実施しております。
遺伝性乳がん卵巣がんの遺伝子診断として、当科では臨床遺伝学センター外来と連携して遺伝性乳がん卵巣がんの原因遺伝子であるBRCA1とBRCA2の遺伝子検査を行っています。
青木大輔医師(水曜日・初診)を受診してください。
子宮鏡検査は子宮内腔を直接観察する内視鏡検査であり、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮悪性腫瘍などの子宮内腔病変が疑われた患者に行う産婦人科的検査法の一つです。当外来では、主に消化器内視鏡領域で病変の質的診断や病変の検出能の向上に近年成果をあげている画像強調観察の‘Narrow Band Imaging’システムを積極的に子宮鏡にも応用し、子宮内膜病変の診断能の向上に成果をあげるよう努めています。
当科では、2024年7月より新たに卵巣サポート外来(金曜日午後)を開設致しました。こちらの外来は、原則として当院の他診療科に通院中の患者様が、主担当科からコンサルテーションして頂く形でご受診頂けます。
当外来では、様々な病気と向き合い治療がひと段落した女性が、その後も健康に長生きできる手助けをしたいと考えています。
例えば閉経前の女性がんサバイバーは、治療等によって卵巣機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)低下によって更年期症状を呈するほか、生活習慣病、心血管系疾患、骨粗鬆症等のリスクが上昇する可能性があります。当外来ではこのようにあらゆる病気(がんに限らず)の治療により早発卵巣不全を呈している、あるいはその可能性が高い患者様を対象として、更年期症状(ホットフラッシュ等)に対する治療や、脂質異常症・骨粗鬆症等の検査を行い、女性ヘルスケアの観点から介入を行います。また、西洋薬では対処の難しい疲労感などについても、東洋医学的な側面からの治療を併せて行います。
主科の治療が落ち着きフォローアップに入る頃などに、月経について心配に思っている症状や更年期障害を疑う症状がないか、いま一度ご自分の体について振り返って頂き、もし不安なことがありましたらぜひ主治医の先生にご相談下さい。主治医の先生から当外来にコンサルテーションして頂ければと思います。また、初回の受診は原則金曜日午後にお願いしておりますが、その後の通院は可能な範囲で主科の診療日と合わせられるよう検討いたします。
ご不明な点がありましたら、産婦人科外来までお問合せ下さい。