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周産期カンファレンス

周産期医療の話題を中心に関連診療科と月一回カンファレンスを行っております。医師、看護師、助産師をはじめ興味のある方はどなたでも是非御参加ください。

2016.7
右肺無形成、高度気管狭窄、食道閉鎖を合併した新生児死亡症例の検討
  日 時: 2016年7月11日(月曜日)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 産科 秋葉洋平先生、小児科 松崎陽平先生、小児外科 下島直樹先生

2016.6
GBS感染症の動向と周産期感染予防の問題点について
  日 時: 2016年6月27日(月曜日)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 感染制御センター 岩田 敏先生

2016.5
腸内細菌(microbiome)
  日 時: 2016年5月23日(月曜日)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 腎臓内分泌代謝内科 入江潤一郎先生

2016.4
早産児の発達を促す保育環境の最適化〜光環境〜
  日 時: 2016年4月25日(月曜日)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 国立精神・神経医療研究センター 太田英伸先生

2016.3
薬剤部による妊婦・授乳婦のお薬相談
  日 時: 2016年3月28日(月曜日)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 薬剤部 小谷宙先生

2016.2
当院における先天性横隔膜ヘルニア周産期管理例を振り返って
  日 時: 2016年2月22日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 下島直樹先生(小児外科)

2016.1
周産期臨床統計2015年
  日 時: 2016年1月18日(月)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 大谷利光(産婦人科)、松崎陽平(小児科)、清水隆弘(小児外科)
  要 旨:

 2015年の周産期臨床の振り返りを行いました。まず、産科については、2015年の総分娩数は616件(うち双胎27件)、前年と比較して18件増加しました。総分娩数は増加しましたが、病床数の関係もあり母体搬送の受け入れは41件、昨年と比較し15件減少しました。帝王切開術は289件(46% )、特に帝王切開術施行決定から可及的速やかな娩出を要する超緊急帝王切開術は8件であり、主な適応は常位胎盤早期剥離および胎児機能不全でした。母体年齢36歳以上の高齢出産の割合は約53%であり、年々増加傾向にあります。胎児外来への紹介患者は108名、このうち当院では36例の周産期管理を行いました。
 次に松崎先生より新生児病棟の臨床統計を報告していただきました。2015年の一年間に新生児病棟(NICU 9床、GCU 18床)には計744名が管理入院となり、前年と比較して70名増加しました。このうち、NICU入院数は209名(前年+32名)であり、1500g未満は28名、1000g未満は8名でした。新生児搬送受け入れ数は103名(前年+45名)人工呼吸器管理を要した症例は104例(気管内挿管症例61例 DPAP43例)でした。心臓外科領域では動脈管閉鎖術および肺動脈絞扼術を中心に8例、小児外科領域では7例の手術を新生児期に行いました。
 最後に清水先生からは小児外科における新生児手術統計の発表をしていただきました。新生児手術症例は低位鎖肛や十二指腸閉鎖をはじめ計12例でした(院外出生例含む)。特に、胎児期から周産期管理を行った先天性胆管拡張症の手術症例について、生後超音波像や術中写真等を交えながらお話いただきました。
 産科病棟ベッド数がlimiting factorとなり母体搬送受け入れ率は低下してしまいましたが、分娩件数や新生児搬送受け入れ数は徐々に増加しております。
 2016年も産科・小児科・小児外科の連携を密にし、質の高い周産期診療を提供していきたいと思います。(文責:大谷利光・宮越敬)


2015.12
1号棟4階における授乳支援向上に向けた取り組み
  日 時: 2015年12月28日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 1号棟4階 ○佐々木 早乙女 塩月 栗原
  要 旨:

 1号棟4階(産科病棟)看護スタッフ(助産師・看護師)は、母親の希望する授乳方法に従って授乳に自信を持って取り組むができるように、日々支援を行っている。母乳栄養を実施していきたいという母親のニーズに対応するために、これまでの授乳支援の方法を見直しし、新たな取り組みを開始した。
病棟の授乳に関することの窓口として「授乳支援班」を設立した。そして、看護スタッフの知識や技術向上のための学習会の開催や、授乳方法の希望を母親全員に聴取することを実施した。また、児への授乳開始以前に行う指導内容を見直しし、産褥早期に授乳開始が困難な早産児出産の母親に対しては、産褥早期から乳頭刺激を開始することとした。
 結果としては、1号棟4階看護スタッフが、乳房管理や授乳に関する知識や技術の向上を図ることができ、入院中の母親の継続した授乳支援を行うことができるようになったと言える。実際には、母親の強い乳房緊満の生じることが減少したこと、母乳分泌量が増加したことがある。
 今後の課題は、以下の2点である。

  1. 授乳に関する母親の様々なニーズに対応して適切な支援を行うための、更なる知識や技術の向上
  2. 1号棟5階看護スタッフ、産科医師、新生児科医師の協働による効果的な母児の支援

発表内容
  1. 当院の現状
  2. 1号棟4階の授乳支援内容
  3. 授乳支援に関して見直しを行った内容
    1)授乳支援班の設立
    2)乳房管理と授乳行動を中心とした指導への移行
    3)早産児出生の母親への母乳分泌促進の支援
    4)母児のニーズに対応した取り組み
  4. 結果
  5. 課題

2015.6
最近4年間の先天性心疾患(胎内診断例)の検討
  日 時: 2015年6月20日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 小柳喬幸先生(小児科)
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、最近4年間の先天性心疾患(胎内診断例)の検討と題して、小児科の小柳喬幸先生にご講演いただきました。
 まず、当院で胎内診断した先天性心疾患の内訳とその転帰、続いて当院での先天性心疾患の新生児診療体制についてお話しいただきました。
 2011年から2014年までの4年間の院内出生児は2285名でした。そのうち先天性心疾患と胎内診断され当院で出生した児は45名(1.9%)でした。
 45例の内訳は、男児22名、女児23名、平均出生週数は妊娠36週、平均出生体重は2344gでした。妊娠37週未満の早産児は16名(36%)、出生体重が2500g未満であった児は28名(62%)、体外受精胚移植により出生した児は10名(22%)でした。先天性心疾患と胎内診断された児は全例で先天性心疾患と出生後診断されています。疾患名の合致率は95%に当たる43例であり、高い正診率でした。
 出生45例の内訳は生存が34名(76%)、死亡が11名(24%)でした。他施設では生存率38.9〜70%との報告があり、同等の結果でした。手術を施行した症例は45例中38例(84%)でした。うち29例(77%)は生存、9例(23%)は死亡の転帰でした。手術関連死亡(術後30日以内の死亡)は3例(7.8%)に認められました。出生体重別の検討では、出生体重は予後を左右する一因である可能性が示唆されました。
 疾患別の内訳は、心室中隔欠損症が9例、単心室症が7例、房室中隔欠損症が7例、両大血管右室起始症が6例、大動脈弓離断症が3例、不整脈が3例、その他9例でした。不整脈の3例を除き、チアノーゼ型が24例、非チアノーゼ型が18例でした。また、22例(49%)に染色体異常や無脾症候群、CHARGE症候群やVATER症候群といった奇形症候群を合併していました。
 死亡の転帰を辿った11例の疾患名は、両大血管右室起始症、単心室症、大動脈弓離断症、房室中隔欠損症、ファロー四徴症などであり、複雑な心内構造異常を伴うものが中心でした。また、11例中7例に染色体異常や無脾症候群を合併していたことも予後に影響したと考えられました。
 当院では、先天性心疾患と胎内診断された場合、妊娠中から産科・新生児科・小児心臓班・心臓血管外科・小児外科・麻酔科などの関連診療科で情報を共有し、赤ちゃんとご両親をサポートしています。胎内診断を共有することで、計画分娩や分娩時の環境を整えることができ、新生児死亡の減少に繋がります。また、胎内診断された場合には、小児心臓班の医師からご両親に出生前に病状説明や出生後の治療方針をご説明する機会を設けています。出生前からこのような機会を設けることで、ご両親の不安軽減や治療施設の選択が可能になると考えています。ご両親の複雑な感情の受け入れのための体制作りも行っています。
 当院の特色の一つに、総合診療を必要とする複合疾患患者を得意とすることが挙げられます。今後も、関連診療科と連携しながら治療成績の向上に努めていきます。また、出生前から新生児期、小児期にわたり継続性のある家族サポート体制を作っていきたいと考えています。
 今回は当院の先天性心疾患の検討について、貴重なお話をいただきました。より良い診療を実現させるために関連診療科で協力していくことを再確認しました。
(文責:福武麻里絵)

 

2015.4
当院での2014年の新生児聴覚スクリーニング検査の報告
  日 時: 2015年4月13日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 超音波検査室 堀検査士
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、当院での2014年の新生児聴覚スクリーニング検査の報告と題して、耳鼻咽喉科聴力検査室の堀明美さんにご講演頂きました。
 難聴の頻度は1000人に1人程度といわれています。1970年に聴性脳幹反応(ABR : Auditory Brainstem Response)が発見され新生児の難聴を正確に判定できるようになりました。さらに1997年には簡便で信頼性の高い検査法であるAABR(Automated Auditory Brainstem Response)が開発されました。これは防音室や催眠鎮静剤は不要で、自然睡眠下または安静時に実施可能であり、検査時間も約10分と短く、感度は99.96%と言われています。
 当院における新生児聴覚スクリーニングは、生後数日以内に自動聴性脳幹反応(AABR:Auto Auditory Brain Response)を行い、難聴児を早期診断し、聴覚精査および療育につなげることを目的としています。2013年まではハイリスク症例に対してのみ検査を施行してきましたが、2014年からは両親から希望があった正期産児に対しても、AABR検査を実施しています。初回AABRにてrefer(要再検)となった児に対しては入院中に2回目のAABRを施行し、更にreferとなった児をrefer確定としています。授乳直後の睡眠下で検査を行うよう工夫することで覚醒による体動を減少させ、refer検出の偽陽性率を低下させました。
 言語獲得に重要な時期は生後6ヶ月〜2歳であるとされており、新生児聴覚スクリーニングの考え方に、『1-3-6 ルール』というものがあります。具体的には、生後1ヶ月までにすべての児が新生児聴覚スクリーニング(AABR)を終えている、生後3ヶ月までに精密検査(聴性定常反応検査:ASSR:auditory brainetem response)が開始される、生後6ヶ月までに2回目のASSRを施行し、難聴と診断された児に対しては必要な療育が開始される、というものです。当院ではこのルールに基づき、早期介入に努めています。
 当院では2014年は全出生児の87%にあたる456名の児に対して検査が行われました。検査について広く啓蒙することでこのような高受診率を得ることができました。偽陽性率は0名、一側性難聴は1/456名(0.2%)、両側性難聴0名でした。一般的に、AABRの偽陽性率は2%とされているため、良好な成績であったと思われます。
 新生児聴力スクリーニングは、その時点において言語発達に影響を与えるような難聴が否定的であるということを示す検査です。両親に結果を説明する際には、その後の育児のなかで難聴を疑うような症状があった場合には小児科の医師にご相談いただくように説明しておくことも重要と考えられます。
 当院でも新生児聴覚スクリーニングを広く行うことで、より早く的確に医療介入を行えるように耳鼻咽喉科、小児科、小児外科、産科などの関連診療科で協力をしていくことが重要であることを再確認しました。(文責:福武麻里絵)

 

2015.3
当院での22-23週児の予後
  日 時: 2015年3月23日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 小児科 松崎先生
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは小児科の松崎陽平先生からお話をいただきました。
 超早産児では、呼吸窮迫症候群(RDS)、壊死性腸炎(NEC)、動脈管開存症(PDA)、脳室内出血(IVH)、慢性肺疾患(CLD)、未熟児網膜症(ROP)、運動発達遅延、精神発達遅延などのリスクを考慮する必要があります。今回、2006年以降に当院で経験した22-23週での出生児の疾患罹患率や予後について検討しました。死亡率は、22週では25%(2/8例)、23週では18%(3/17例)であり、22-23週全体では20%(5/25例)という結果でした。死因としては敗血症やNECなどが挙げられました。80%が生存退院しており、他施設の22%(22週)、55%(23週)と比較し良好は成績でした。NECの発症率は、22週では14.3%(1/7例)、23週では16.7%(3/18例)という結果でした。それぞれ1例ずつ死亡例があり、22-23週全体では20%に腸管穿孔が起きていました。PDAについては、22週では71.4%(5/7例)でインドメタシンを使用しました。2例は自然閉鎖を認めました。23週では61.1%(11/18例)でインドメタシンを使用し、16.7%(3/18例)で外科的結紮術を要しました。2例は自然閉鎖しています。22-23週全体では、76%にインドメタシンを使用し、12%に外科的結紮術を施行していました。一方、20%で動脈管の自然閉鎖を認めました。IVHの発症率は、22週では57.1%(4/7例)でした。このうち28.6%(2例)でV度以上の重篤な出血を認めました。23週では38.9%(7/18例)、うちV度以上の出血は5.6%(1例)という結果でした。22-23週全体では44%にIVHを認め、12%にV度以上の出血を認めました。他施設では、26%(22週)、15%(23週)にV度以上の出血があったとの報告もあることから同等の結果であったと考えられました。CLDの発症率は、22週では100%(6/6例)でした。在宅酸素を必要とした症例は2例でした。23週では94.1%(16/17例)でCLDと診断されました。在宅酸素に移行した症例は5例ありました。22-23週全体では、95.6%が36週の時点で酸素投与を必要とし、30%の症例で在宅酸素へ移行しました。ROPについては、22週の83%でレーザー治療を必要とし、うち1例では硝子体手術を行いました。23週では64.7%(11/17例)でレーザー治療を、1例で硝子体手術を施行しました。22-23週全体では69.6%でレーザー治療を行い、8.7%で硝子体手術を施行したことになります。他施設ではレーザー治療が65%、硝子体手術は0%であったとの報告がありました。運動発達についてですが、22週では66.7%(2/3例)に、23週では45.5%(5/11例)に発達遅延を認めました。22-23週全体では50%の症例で運動発達遅延を認めました。精神発達については、22週では33.3%(1/3例)に、23週では45.5%(5/11例)に発達遅延を認めました。22-23週全体としては42%に精神発達遅延を認めました。成長についてですが、2歳以降の児に関しては22週の33.3%(1/3例)、23週の50%(4/8例)で身長が3%tile以下という結果でした。22-23週全体としては2歳以降の45.4%に3%tile以下の低身長を認めました。
 今回、22-23週で出生した児に関する貴重な報告をしていただきました。当院では、それぞれのリスクを軽減させるための取り組みを行っています。RDS予防目的のサーファクタントのより早期投与、NEC予防のためのビフィズス菌・母乳早期投与、IVH予防のためのより早期のインドメタシン開始、腸管穿孔リスク軽減のためCLDに対するステロイド慎重投与、ROP予防のため酸素慎重投与などがその例です。
 今後、超早産児は増加傾向をたどることが予想されます。特に運動・精神発達に関しては、短期的な問題だけでなく長期予後に関わる課題も抱えているため、症例の蓄積と共に継続的な長期フォローが重要と考えられます。(文責:福武麻里絵)

 

2015.2
超低出生体重児における動脈管開存症手術症例のまとめ
  日 時: 2015年2月23日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 小児科 金先生
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、超低出生体重児における動脈管開存症手術症例のまとめと題して、小児科の金隆根先生よりお話をいただきました。
 動脈管は大動脈と肺動脈を繋ぐ血管です。胎児期には肺に流れる血流が少ないため、動脈管を通して大動脈に血液が流れることで胎盤への血流を保っています。動脈管は出生後数日の間に閉鎖しますが、早産児の場合には閉鎖しないことがあります。動脈管が開存していると大動脈から肺動脈に血液が流れ、肺血流が多くなりすぎ呼吸不全や心不全を引き起こす恐れがあります。また、大動脈への血流が減少することにより腎臓や肝臓、腸管への血流が減少し腎不全、壊死性腸炎などを引き起こすこともあります。
 動脈管を開存させる(平滑筋を弛緩させる)因子としてはプロスタグランジンE2や(PGE2)や一酸化窒素(NO)があり、一方閉鎖させる(平滑筋を収縮させる)因子としては酸素(O2)が挙げられます。通常、出生後にはPGE2を産生する胎盤が消失することやPGE2が肺で代謝されること、更には酸素分圧の高い血液が動脈管を通ることで出生後数日以内に(機能的に)閉鎖します。
早産児は正期産児と比較し、PGE2が代謝されにくいこと、動脈管の酸素への反応性が低く収縮が弱いことから機能的な閉鎖が起こりにくいという特徴があります。また器質的な閉鎖に至らず再開通しやすいことから、30週未満で出生した早産児の65%は治療を必要としたとの報告もあります。症状としては肺血流増加による肺うっ血や肺出血、体血流低下による腎不全や壊死性腸炎が挙げられます。心拍上昇、心雑音聴取、拡張期血圧低下などに注意が必要です。治療には薬物療法と外科的結紮があります。薬物療法としてのインドメタシン(COX阻害薬)はPG合成を阻害することで動脈管を閉鎖させる作用を持ちます。当院では24時間間隔で3回投与を1クールとし、閉鎖が確認されるまで2-3クール投与を行っています。有害事象は、腎障害、消化管穿孔、血小板機能低下などが挙げられます。依然として開存している場合には外科的結紮を行います。当院ではNICUでも手術可能であるため、病状により外科的結紮の時期を選択することが可能です。
 当院で2006年以降に施行された超低出生体重児の手術症例は15例でした。当院で管理を行った超低出生体重児のうち10%(15例/153例)に当たります。症例の分布は、出生週数は23-28週(中央値25週)、出生体重は400-900g(中央値600g)、外科的結紮術の施行日の中央値は出生後2日でした。外科的結紮術を施行するまでの経過としては、インドメタシン投与を完遂した後に手術を施行した症例が7例、有害事象により完遂できず手術を選択した症例が7例、すぐに手術を施行した症例が1例ありました。当院では手術へ移行する至適時期などについても検討を行っています。手術成績は良好であり、児に認められた合併症としては、慢性肺疾患15例(うちHOT導入2例)、未熟児網膜症に対するレーザー治療12例、壊死性腸炎3例、脳室内出血3例などと続き、超低出生体重に伴うものでした。
 今回は、超低出生体重児の動脈管開存症について貴重なお話をいただきました。症例の蓄積をしていくと共に、今後も関連診療科で連携を取っていくことが重要であると考えられました。(文責:福武麻里絵)

 

2014.12
バースプランについて
  日 時: 2014年12月22日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 1号棟4階 助産師 (遠藤、鈴木、坂本、照井)
  要 旨:

 1号棟4会産科病棟、助産師は、妊婦やその家族が自己の妊娠、分娩、育児に対して具体的に考えることができるように支援することが必要であると考えています。また、妊産婦と助産師が一緒にバースプランを考えながら信頼関係を築くこと、その分娩や育児に携わる1号棟5階の看護師助産師、または、産科医師や小児科医師がそのバースプランの内容を共有して対象者を支援することが重要であると考えます。
 今回、バースプランについて、9月1ヶ月間、出産を目的にして入院した妊産婦32人に聴き取りを行いました。この結果、妊産婦自身が、分娩や育児に関するニーズを明確にすることができていない現状や、現在、当院で実施されている分娩や育児に関する内容が理解されていない現状も明確になりました。
 実際に、産婦のバースプランに対応したケアを実践すると、妊産褥婦自身が分娩や育児に対する希望や目標を明確にし、主体的に取り組む姿勢が見られました。そして、バースプランの実現に向けて助産師と一緒に取り組む過程が、対象者の分娩体験や入院生活への満足度を向上することに繋がっていることを再認識することができました。しかし、今後の課題も見えてきました。その内容を、周産期カンファレンス参加の皆様と共有し、これからも、私達助産師は、妊産褥婦に対して適切なケアを提供していきたいと考えます。

内容
  1. バースプラン導入の経緯
  2. バースプランの調査について
    1)経腟分娩の場合
    2)腹式帝王切開の場合
  3. 1号棟4階に移動してからの母児同室の実施状況
  4. バースプランの実践内容
  5. 今後の課題
(文責:菊地)
 

2014.10
当院における口唇・口蓋裂治療の現状について
  日 時: 2014年10月27日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 形成外科 岡部圭介先生
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、口唇・口蓋裂について形成外科の岡部圭介先生にご講演頂きました。口唇・口蓋裂は1/500人の頻度で発生する多因子遺伝疾患です。発生段階で胎生4〜7週に一次口蓋、7〜12週に二次口蓋が形成されますが、口唇・口蓋裂は一次・二次口蓋の癒合不全により起こるとされております。形態としては(1)口唇裂、(2)口蓋裂、(3)顎裂があり、さらにそれぞれ完全と不全、片側と両側などに分類されます。通常、第1児が口唇・口蓋裂であっても第2児が口唇・口蓋裂になる確率は数%です。
口唇・口蓋裂の治療にあたっては、整容性および吸啜・嚥下・発語などの機能に留意する必要があります。治療時期について、まず口唇裂・鼻形成術は、安静が保たれ術後治癒しやすい生後2ヶ月に施行されます。続いて発声・発音への影響を考え、1歳前後に口蓋裂形成術を行います。顎裂では骨移植が必要となることが多く、歯列形成を考慮して8〜11歳が至適施行時期となります。各手術に加え、術後の創部非対称性を修正する手術が必要となることがあります。
 今回は、口唇・口蓋裂の概要から当院での治療に至るまで貴重なお話をいただきました。口唇・口蓋裂の治療は、機能障害による成長・発達障害のみならず整容面での心理的な問題の解決にも寄与することを再認識しました。(文責 蛭田健夫)

 

2014.9
Dural sinus Malformation(硬膜静脈洞奇形)について
  日 時: 2014年9月22日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 脳神経外科 三輪点先生
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、脳神経外科の三輪点先生にDural sinus Malformation(硬膜静脈洞奇形:DSM)についてご講演いただきました。
症例:妊娠26週時に超音波にて胎児頭蓋内腫瘤を指摘され、精査目的で当院胎児外来初診となりました。超音波およびMRIにてDSMおよび顔面リンパ管腫が疑われ、脳外科および小児科と連携して経過観察となりました。経過中に病変に著変なく、妊娠37週時に選択的帝王切開にて男児分娩に至りました。眼瞼周囲には血管腫を認め、画像検査では血栓を伴うDSMと診断されました。その後、血栓の消失を認めましたが、新たな硬膜動静脈シャントの出現が確認されました。現在はカテーテル塞栓治療などの可能性も視野に入れながら循環動態の変化などについて慎重に経過をみています。
DSMは頭蓋内静脈奇形の1.9%と稀な疾患です。横静脈洞の拡張が進行および残存する病態で、動静脈瘻を伴うものと伴わないタイプがあります。診断にはカラードプラが有用です。DSM内の血流が遅いため、内部に血栓化を伴うことが多いとされておりますが、正常脳静脈の還流路として機能することもあります。70%以上の場合で予後良好ですが、シャントの進行が速い場合などは予後不良と報告されております。出生後の症状増悪の要因として、High-flow shuntにより心拍出量が増加し、さらに全身血管抵抗が低下することより、右心負荷・肺動脈圧が増加し、結果として心不全を来すことが挙げられます。DSMは他の小児動静脈シャント疾患と同様に発症時期に応じて、心不全、腎不全、呼吸不全、水頭症、巨頭症などを呈します。血栓の融解に伴う新たな硬膜下動静脈瘻の出現や心不全、水頭症に伴う頭囲の拡大に注意しながら慎重な経過観察が必要です。症状出現時、進行時には血流を低下させる経動脈的塞栓術や経静脈的塞栓術による治療が行われます。
今回のカンファレンスでは、DSMという稀な病態を学ぶことができました。DSMの管理においては、産科による胎児診断、適切な分娩方法の選択、小児科・小児外科による出生直後の周術期管理、脳外科による治療適応の判断など、集学的治療が不可欠です。今後も、各診療科間においてカンファレンスなどでコミュニケーションをとり、密に連携して治療にあたることが大切であると考えられました。(文責:樋口敦彦)

 

2014.6
当科における先天性食道閉鎖症例の検討
  日 時: 2014年6月30日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 小児外科 加藤源俊先生
  要 旨:

 今回の周産期カンファレンスでは、当科における先天性食道閉鎖症例の検討と題して小児外科の加藤源俊先生よりお話をいただきました。
 新生児期に小児外科手術を要する疾患頻度としては、直腸肛門奇形、腸閉鎖、肥厚性幽門狭窄症、横隔膜ヘルニア、そして食道閉鎖と続きます。先天性食道閉鎖症は比較的よく遭遇する疾患のひとつです。
 先天性食道閉鎖症の病型分類にはGross分類が用いられます。下側の食道と気管が瘻孔でつながっているC型の頻度が最も高く、85%を占めます。胎内所見としては羊水過多、胃泡の不明瞭などが挙げられ、出生後の診断には経鼻胃管のcoil up sign、泡沫状唾液などが有用です。典型的な胎内所見が認められる症例は限定的であり、胎内診断率は43%にとどまります。また、先天性食道閉鎖症の50-65%に先天性心奇形といった何らかの合併奇形を伴うことが知られており、合併奇形も含めた治療が必要となります。新生児予後のリスク分類として、Waterstonのリスク分類(1962年)では出生体重、合併奇形、肺合併症が予後を左右するとされています。またSpitzの分類(1996年)では出生体重、重症心奇形の有無が重要とされています。Spitz分類のGroupTの先天性食道閉鎖症の生存率は96%程度と報告されています。
 先天性食道閉鎖症の治療は手術療法であり、食道吻合術が行われます。Gross分類の病型や、上下の食道の離れ具合によっては食道の延長術(Howard法、Foker法)が必要になることもあります。当院で施行された先天性食道閉鎖症手術の術中手術映像を供覧していただき、手術の流れについて解説いただきました。
 最近5年間での当院での先天性食道閉鎖症手術例は14例です。先天性食道閉鎖症では、頻回の吸引や状態観察が重要であり、看護スタッフによるケアが非常に重要です。早期合併症としては食道縫合部の縫合不全、縦隔炎、晩期合併症として胃食道逆流、吻合部狭窄、気管軟化症などが挙げられます。当院の成績は14例中2例に縫合不全が認められ、既知の頻度と同程度でした。術後も、嚥下機能、呼吸器感染症、栄養状態などに注意を払い、長期的に経過をみていく必要があります。
 今回は、先天性食道閉鎖症の概要から当院での治療戦略に至るまで、貴重なお話をいただきました。周産期管理を円滑に行うためには、産科・新生児科・小児外科との円滑な連携が重要であり、また新生児の看護に関わるスタッフの協力が不可欠であることが再認識されました。(文責:福武麻里絵)

 

2014.4
1号棟5階における長期入院患児への母乳育児支援
  日 時: 2014年4月28日(月)17:00〜18:00
  場 所: 2号館11階カンファレンスルーム
  講 師: 1号棟5階 助産師・看護師 (佐々木亜妃、石井裕子)
  要 旨:

 昨年度、GCUチームで長期入院患児の母乳育児支援に取り組み、児の出生から退院まで継続した母乳育児支援を実践する体制が整ってきた。超低出生体重児の場合、生後4〜5ヶ月間の入院を要する。この間、母は直接母乳ができない状況で母乳分泌を維持し、児は成長発達の段階や全身状態に応じて哺乳行動を獲得していく必要があり、個別的かつ継続的な母乳育児支援が求められる。NICUでは平成23年度から「NICU母乳ケアプラン」を運用し、早期からの母乳栄養開始と家族ケアの推進を目指して母乳育児支援を行っている。1号棟4階と1号棟5階の連携を強化すると共に、1号棟5階でできることを模索しながら、より早期からの母乳栄養開始を目指している。GCUでは母と定期的に話し合いながら、母の母乳育児への思いに寄り添い、退院に向けた目標を達成できるように支援をしている。長期間に及ぶ母乳育児支援においては、母乳分泌不足や乳管閉塞、乳腺炎の発症など、1号棟5階だけでは対応が困難な事例もあり、産科の医師、助産師、地域の社会資源を活用しながら対応している。今後の課題は、現在1号棟5階で行っている母乳育児支援を定着させて母乳育児支援能力を向上すること、早産の母児に対してより早期からの母乳栄養開始を目指すことである。また、長期的には周産期成育クラスターとしての母乳育児支援体制を構築することが課題である。早産児に限らず母乳栄養には多くの利点があり、小児科・産科、医師・助産師・看護師の連携を深めながら当院の母乳育児支援を推進していきたい。(文責:佐々木亜妃)

 
2014.3
新生児聴覚スクリーニングについて
  日 時: 平成24年3月25日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 大石直樹先生(耳鼻咽喉科)
  要 旨:

 今回は新生児聴覚スクリーニングについて、耳鼻咽喉科の大石先生にご講演頂きました。新生児聴覚スクリーニングは、生後数日以内に自動聴性脳幹反応(AABR)を行って難聴児をスクリーニングし、聴覚精査および聴覚学習のための適切な療育につなげることを目的としています。
 難聴の頻度は1000人に1〜2人といわれています。1970年に聴性脳幹反応(ABR : Auditory Brainstem Response)が発見され新生児の難聴を正確に判定できるようになりました。さらに1997年には簡便で信頼性の高い検査法である自動ABR(Auto Auditory Brain Response)が開発されました。これは防音室や催眠鎮静剤は不要で、自然睡眠下または安静時に実施可能であり、検査時間も約10分と短く、感度は99.96%といわれています。
 言語獲得に重要な時期は生後6ヶ月〜2歳であるとされていますが、以前は1〜3歳で初めて難聴と診断されることが多く、新生児聴覚スクリーニングを導入することで早期診断、早期治療が可能となりました。現在、デジタル補聴器や人工内耳を用いた治療法の進歩により、難聴の治療が可能となっています。具体的には新生児期に難聴を診断し生後6ヶ月までに治療を開始することによって、3歳時には正常児の90%の言語力を身につけると報告されています。
 当院でも新生児聴覚スクリーニングが導入され、現在、希望者または難聴ハイリスク児に対して施行しています。今後、耳鼻科、小児科、産科で連携をとりながら適応の拡大について検討していくことを確認しました。(文責:池ノ上 学)

 
2014.2
母児同室の現状と今後の課題について
  日 時: 2014年2月24日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 1号棟4階 助産師 (植松、藤田、早乙女、森、宮脇)
  要 旨:

 昨年9月に1号棟4階に移動し、11月から母児同室を再開した。
これまでの母児同室時間は、8時45分〜14時45分(平日)であった。しかし、褥婦からは、「夜間も母児同室を行いたい」という声が多数聞かれている。また、助産師は、授乳や乳房ケア、新生児の育児に対するアドバイスを実施する時間を増やし、看護ケアを向上させるための方法として母児同室の時間延長を考えてきた。今回は、安全を保持して母児同室の時間を延長するための取り組みや工夫の内容を発表すると共に、消灯時間(21時)まで母児同室時間を延長することを提案した。そして、新生児医師や1号棟5階の看護師から、母児同室の時間延長に関する様々な意見をいただくことができた。
今後は、時間を延長した状態においても安全に母児同室を実施していくために、助産師が新生児の観察方法等を研修することや、1号棟4階と1号棟5階の看護スタッフ同士がより協力体制を強化していきたいと考える。

  1. 当院における母児同室の方法と条件
    ・感染防止の視点により、面会時間以外の日勤帯で実施
  2. 当院における母児同室の歴史
    ・当院では、2000年3月から実施
  3. 1号棟4階に移動してからの母児同室の実施状況
  4. 母児同室の時間延長に取り組むことになった動機
  5. 母児同室の時間延長に向けての準備
    1)新生児の管理
    2)感染防止対策
    3)安全性・緊急時の対応
  6. 安全に母児同室を実施するための課題
(文責:菊地)
 
2014.1
2013年周産期臨床統計
  日 時: 2014年1月27日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階カンファレンスルーム
  講 師: 池ノ上学先生(産科)・松崎先生(新生児科)・富田先生(小児外科)
   

2014年を迎え、毎年恒例となりました前年の周産期臨床統計についてカンファレンスを行いました。
まずは産科領域ですが、2013年の総分娩数は502件(うち双胎19件、品胎1件)であり、前年と比較して33件減少しました。総分娩数は減少した一方で、母体搬送の受け入れは62件と昨年と比較し28件増加しました。帝王切開術は248件で、総分娩数に占める割合は約49%でした。特に、帝王切開術施行決定から可及的速やかな娩出を要する超緊急帝王切開術は11件であり、主な適応は常位胎盤早期剥離および胎児機能不全でした。卵子提供後妊娠は8件であり、母体年齢36歳以上の高齢出産の割合は約47%でした。胎児ハイリスク外来への紹介患者は84名で、そのうち51例について周産期管理を行いました。
次に松崎先生より新生児科の統計を報告していただきました。新生児病棟(NICU 9床、GCU 18床)には計579名が管理入院となり、前年と比較して84名減少しました。これは9月に行われた病棟移転に伴う入院制限が大きな要因となっています。このうち、NICU入院患者数は162名(前年比 -11名)、1500g未満は42名(前年比 +3名)、1000g未満は23名(前年比 +5名)でした。合併奇形を伴う症例も多く、先天性心奇形は16名、形成外科疾患は8名、小児外科疾患は12名でした。
最後に富田先生から小児外科における新生児手術統計の発表をしていただきました。新生児手術症例は22例で昨年に引き続き増加傾向にあり、いくつかの手術症例について術中写真を交えながら発表していただきました。具体的には、壊死性腸炎、腹壁破裂、総排泄腔症、VACTERL連合(食道閉鎖、鎖肛)、胎便栓症候群、小腸捻転などでした。
昨年に引き続き分娩数は減少しており、分娩数回復に向けて母体搬送の積極的受け入れや産痛緩和、医療連携の促進などの取り組みを行っています。引き続き産科・小児科・小児外科の連携を密にし、周産期医療を活性化させていくことを確認しました。(文責:池ノ上)

 
2013.11
AIDに関わる問題点
  日 時: 2013年11月25日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 吉村泰典先生(慶應義塾大学産婦人科教授)
   

近年、AID出生児に関して一部報道において、その問題点がクローズアップされている。そこで、今回は当院産婦人科教授であり、少子化担当内閣官房参与でもある吉村先生に講演をお願いし、AIDに関わる諸問題についてお話いただくこととした。
AIDは昭和23年から始まった非常に古くからある男性不妊に対する治療法の1つである。第3者を介する生殖補助医療については賛否両論あるものの、最近話題となっている卵子提供なども含めて需要があることも事実である。現在は法整備を行っている段階であるが、出自を知る権利と親子関係の認定などの問題点が指摘されている。出自を知る権利は子にとって認められた権利であるが、AIDで使用される精子は匿名性を担保することで提供されており、現在の状況からは出自を伝えることはできない。当院ではAID登録時にカウンセリングを行い、出生児に告知することをすすめており、2000年のアンケートでは子に「告知する」と答えた人は0人であったが、最近の調査では「告知する」と答えた人は約半数に増加している。ただし、父が誰なのかを知ることはできず、今後の課題とも言える。また、性同一性障害カップルがAIDを受ける機会が増えているが、現在のところ国は性同一性障害カップルには嫡出子であることを認めていない。新しい法が整備されることが、出生児の法的地位の確立にもつながり、重要であると考えられる。
最も尊重されるべき子の権利を保証するのが難しいということが、本治療法の最大の問題点である。当院でAIDが実施されて久しいが、その問題点について検討する機会は少なかった。今回の講演でAIDは岐路に立たされており、今後、どのように施行していくことが、両親、子、提供者、医療者にとっていいのかを検討していく必要があることが再認識された。
(文責:春日義史)

 
2013.10
当院でのLate preterm症例の検討
  日 時: 2013年10月28日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 福武麻里絵先生(産婦人科),藤野明浩先生(小児外科),松崎陽平先生(小児科)
   

妊娠34週以上37週未満の早産のことを,Late preterm(以下LP)と定義しています。我が国の早産率は5.7%であり,そのうちLP児は4.4%と8割近くを占めます。近年のハイリスク妊娠の増加、胎児死亡の回避、切迫早産コントロールの改善などがLP児増加の原因と考えられますが、LP児は正期産児と比較して新生児合併症が多いことが知られています。そこで今回の周産期カンファレンスでは、最近5年間の当院でのLate preterm症例を振り返りました。まず産科からは周産期事象の統計を提示し、小児外科の藤野先生からは、Late pretermで出生した新生児のうち小児外科治療が必要であった症例の内訳についてお話いただきました。そしてNICUの松崎先生からは、Late pretermで出生した新生児の合併症について説明していただきました。
当院で2008年1月から2012年12月までに分娩となったLP児(341例)の分娩週数の内訳は、妊娠34週が19%、妊娠35週が28%、妊娠36週が52%でした。分娩様式は、経腟分娩が24%、帝王切開分娩が76%でした。帝王切開分娩のうち予定帝王切開は55%であり、双胎妊娠、胎盤臍帯付着部異常、既往帝王切開後妊娠が主な分娩理由でした。緊急帝王切開は45%であり、前期破水や切迫子宮破裂、妊娠高血圧症候群などが主な分娩理由でした。当院におけるLPの発生率は12%であり、ハイリスク妊婦を扱っているため全国平均より高率でした。
最近5年間に出生したLP児で小児外科治療を要した症例は16例でした。内訳は、臍帯ヘルニア4例、鎖肛2例、CCAM2例、ヒルシュプリング2例と続きます。小児外科全体の疾患の割合に比べると、LP児においては臍帯ヘルニア症例が占める割合を多く認めました。症例数が少なく手術の関係で早めに帝王切開分娩とすることがあるため、LP児としての傾向を示すことはできませんが、正期産児よりも新生児死亡率は高率でした。
LP児は正期産児と比較して未熟であるため、呼吸の未熟性、低血糖、低体温、黄疸、感染症、神経発達の未熟性といった問題が挙げられます。最近5年間に当院で扱ったLP児は312人であり、新生児全体の14.8%でした。早産児の中では65.1%を占め、全国平均78%と比較すると当院ではさらに早い週数の早産児を多く診療していることが分かります。基礎疾患を有する児を除外して検討を行ったところ、正期産児と比較し、LP児において呼吸障害発症率、補液管理症例数、神経学的異常や発達障害発症率を多く認めました。文献的にはLP児の呼吸障害や低血糖などについての関連性は示されていますが、神経学異常や発育障害に関する統計は少なく、これらがLPによるものかどうかは不明とのことでした。
母体の高齢化や生殖補助医療の発展に伴い、今後もハイリスク妊娠ならびにLP児は増加すると考えられます。短期的な問題だけでなく、長期予後に関わる問題も抱えている可能性もあり、分娩時期や新生児管理については産科・新生児科・小児外科との円滑な連携が重要であることが再認識されました。(文責:福武麻里絵)

 
2013.9
周産期病棟移転を振り返って〜5年後の新病棟移転を見据えた検討〜
  日 時: 2013年9月30日(月)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 春日義史先生(産婦人科)
    去る平成25年9月15日に産科病棟は7号棟4階から1号棟4階に,NICUは7号棟5階から1号棟5階に移転し,周産期・小児医療センターとして新たに生まれ変わりました.多くの方々にご尽力いただいたおかげで大きなトラブルなく移転ができましたが,いくつかの問題点も明らかになりました.そこで,今回の周産期カンファレンスは,各病棟の医師・看護師に自由回答のアンケートに答えていただく形で,移転に関する問題点を明らかにし,5年後の新病棟建設に役立てる目的で行いました.
 アンケート結果からは,設備の問題や動線の問題,個室料金,病床数など多くの意見が挙げられ,それらにつき議論がなされました.解決困難な問題もありましたが,早急に解決可能な問題点もあり,全員で意見を共有することができました.また,1号棟でのルールも再確認し,安全で円滑な病棟運営の仕方につき話し合いが行われました.当日は新病院棟建設準備室の岡本さんにも御出席いただきました.さっそくカンファレンス翌日には,要望の1つであった5階エレベーター前のイスの設置をしていただきました.今回の経験を新病棟建設に役立て,より快適な病棟が誕生させるべく努力をしていこうと思います.
(文責:春日)
 
2013.6
腹壁破裂症例の胎内所見と出生後管理
  日 時: 2013年6月24日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 石濱秀雄先生(小児外科)、池ノ上学先生(産科)
    腹壁破裂の発症頻度は2000〜6000分娩に1例程度であり、右臍静脈の吸収の過程で腹壁形成不全による脆弱部分ができ、体腔外へ腸管が脱出する疾患です。今回の周産期カンファレンスでは、出生前から産科をはじめ小児科・小児外科・麻酔科など多くの診療科が携った胎児腹壁破裂症例の振返りを行ないました。
症例は妊娠14週時に超音波で胎児腹壁破裂を指摘され、当院胎児外来を紹介受診し以後当院でフォローアップされていました。妊娠37週で帝王切開術の予定でしたが、late pretermに前期破水となり、同日緊急帝王切開術で分娩となりました。新生児に対して出生直後にサイロ造設術を行い、腹腔内に消化管が納まった生後4日目に腹壁閉鎖術を行いました。
腹壁破裂における治療戦略としては、脱出腸管の浮腫や、腸管を腹腔内に還納した際の腹圧上昇の程度により一期的腹壁閉鎖を行うか、多段階の腹壁閉鎖(サイロ造設?腹壁閉鎖術)とするかを決定します。サイロ造設により過剰な負荷をかけずに自重のみにより腸管を腹腔内へ還納することができ、また腸管の乾燥を防ぎ、羊水との接触による腸管漿膜の炎症を改善するといったメリットもあります。一方で腹壁を開放するために感染や腸管の硬化のリスクもあり、サイロ造設後は時間をあまりあけずに腹壁閉鎖術を行うことが望ましいとされています。染色体異常を認めることの多い臍帯ヘルニアと比較し、腹壁破裂の予後は良好であり、術後生存率は99%といわれています。しかし、小腸奇形(5〜25%)、Meckel憩室、消化管重複症を合併することがあり、また本症例のように術後イレウスによる再手術を要することもあります。イレウス解除術を5〜10%で要するとの報告や、15〜20%の症例で術後に壊死性腸炎をきたすとの報告もあり、予後良好といえども出生後の慎重な管理が必要となります。
腹壁破裂においては、産科での胎児管理による適切な分娩時期の決定、小児科・小児外科による出生直後の手術および周術期管理、麻酔科による新生児の麻酔管理など、集学的治療が不可欠です。今後も、各診療科間においてカンファレンスなどでコミュニケーションをとっていくことが大切であると考えられました。
(文責:池ノ上)
 
2013.5
当院における出生時胎児水腫症例の検討
  日 時: 2013年5月27日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 有光威志先生(小児科)、池ノ上学先生(産科)
    胎児水腫は免疫性、非免疫性に分類され、免疫性はおもに血液型不適合妊娠が原因となり、非免疫性はその原因によりさらに以下の4種類に分類されます。
(1)膠質浸透圧の低下(ヒトパルボウィルスB-19感染症,乳糜胸腹水,肝疾患、母児間輸血症候群などに伴う貧血あるいは低タンパク血症によるもの)、(2)静脈系静水圧の上昇(胎児不整脈,双胎間輸血症候群,CCAM,肺分画症,肺リンパ管症,胸水症,高度の流入路・流出路狭窄,弁逆流症,心筋疾患などに伴う高心拍出性心不全,うっ血性心不全によるもの)(3)血管透過性の亢進(胎便性腹膜炎,炎症性疾患[TORCH症候群を含む]などに伴うもの)、(4)リンパ還流障害(嚢状リンパ管種,乳糜胸腹水に伴うもの)。今回の周産期カンファレンスでは、過去5年間に当院で経験した胎児水腫症例の検討を行いました。
胎児水腫の頻度は一般的に1500〜4000出生に1例(0.02-0.06%)ですが、当院では紹介例もあり胎児水腫症例は3〜5例/年(0.4〜0.8%)と増加傾向にあります。2008年以降、当院での胎児水腫症例は16例あり、死亡例は6例(37.5%)でした。原因疾患の内訳は乳糜胸水5例(31%)、消化管疾患2例(12%)、心疾患5例(31%)、その他4例(25%)であり、それぞれ死亡率は1例(20%)、0例、3例(60%)、2例(50%)でした。在院日数の中央値は39.5日、特に乳糜胸水症例では97日と長期に及んでいました。
児の予後についてですが、文献的には胎児水腫の死亡率は50-98%、発達障害率は31%といわれています。また2010年のY. YINONらの報告によると、胎児胸水例に胎児水腫群を合併した場合の生存率は52.5%と低率であり、さらに胸水穿刺や胸腔‐羊水腔シャント術施行にも関わらず胎児水腫が軽快しない場合の生存率は35.5%であるとされています。当院では死亡率37.5%、後遺症率6%と文献と比較すると予後は良好でしたが、心血管系異常の合併例では死亡率100%、染色体異常・先天異常例では死亡率58−100%、双胎(TTTS)では死亡率66%と予後不良でした。また、特発性乳糜胸水例は入院期間が長期に及ぶものの、死亡率は6%と低率でした。生存率や神経学的な後遺症の合併率を全体的に評価すると、胎児水腫を合併した児の予後は、胎在胎24週以下の児と同程度でした。今後も正確な胎内診断や胎児治療により児の予後の改善を図ると共に、prenatal visitなど、出生前からの新生児科医の介入も要する可能性あるのではないかと考えられました。(文責:池ノ上)
 
2013.4
当院におけるB群溶連菌感染合併妊娠の検討
  日 時: 2013年4月22日
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 岩田先生(感染クリニック)、木下先生(小児科)、池ノ上先生(産婦人科)
    今回は周産期に問題となる新生児GBS感染症についてカンファレンスが行われました。

B群溶血性レンサ球菌は、母児垂直感染や出生後の水平感染により児に敗血症、肺炎、髄膜炎をきたします。生後7日以内に症状を発症する早発型(early-onset group B streptococcal disease:EOD)と、生後7日以降に発症する遅発型(late-onset group B streptococcal disease:LOD)にわけられ、前者はGBS typeTa,U,V,Xが、後者はGBS typeVが関与しているとされています。EOD発症の危険因子としては、(1)早産、(2)前期破水、(3)破水後18時間以上、(4)絨毛膜羊炎、(5)尿培養でGBS陽性、(6)分娩時の38℃以上の母体発熱、(7)前児がGBS感染症、などが挙げられます。1980年代に米国および英国において“the most common cause of neonatal sepsis and meningitis”とされ、分娩時の抗生剤投与が行われるようになって以来、EODは減少してきています。当院においては2006年〜2012年に分娩した3901件のうち、GBS陽性数は248件(6.4%)で、その中で経膣分娩となったのは166件(4.3%)であり、EODは0例、LODが1例でした。一方で他院のデータでは母体のGBS陽性率は14.9%(979件/6582件:8年間)であり、当院では陽性率は低い傾向にありました。

LODの化膿性髄膜炎由来株はほとんどが III型で、妊婦に対する GBSスクリーニング検査では10-15%でGBS が分離されますが,III 型はその15%程度しか占めていません。新生児化膿性髄膜炎にIII型が多い理由として,この型に特異的な凝集素 (type-specific agglutinin) のみが胎盤を通過しないこと,あるいは脳微小血管内皮細胞への侵入性が高いなど,いくつかのことが指摘されていますが,明確な証拠は得られていません。また、EODは産道感染であるため抗菌薬での予防投与により予防が可能である一方、LODの感染経路としては(1)児が出産時にわずかにGBSを吸引し,徐々に増加して何らかのきっかけで発症する、(2)母親の膣や腸管内に棲息する GBS が手指を介して新生児に伝播する(水平伝播)、(3)新生児の臍,会陰部に付着した GBS が何らかの原因で侵入して発症する、(4)児に接触するヒトから伝播する、などいくつか考えられ、予測は難しいのが現状です。 2009年〜2010年に行われた細菌性髄膜炎314例を対象とした全国調査では、細菌性髄膜炎の8%をGBSが占めており、特に生後2ヶ月以内での起因菌となります。肺炎球菌髄膜炎、インフルエンザ桿菌髄膜炎はワクチン導入によりここ5年で減少率が50〜90%であるのに対して、GBSはまだワクチンが導入されていないため、LODの罹患率は改善がみられていません。今後の新生児GBS感染症の予防として、遺伝子学的診断をベースにした迅速診断やワクチンの開発が望まれます。 (文責: 池ノ上 学)
 
2013.3
胎児機能不全の診断により緊急帝王切開術施行後、重症新生児仮死により脳低温療法を要した症例についての検討
  日 時: 平成24年3月25日(月)17:00〜18:00
  場 所: 北棟1階ラウンジ
  講 師: 武内先生(小児科)、奥村先生(産婦人科)、木下先生(小児科)
    今回は、脳低温療法を要した症例についてカンファレンスが開かれました。

本症例は胎児側脳室拡大、水腎症を認め当院でフォローアップされておりましたが、妊娠38週にNSTモニターにてvariability低下の持続を認め、緊急帝王切開施行となりました。Apgar scoreは 1分値 2点、5分値6点、10分値6点であり、気管挿管の上NICUへ入院、脳低温療法開始となりました。本症例をふまえ、小児科武内医師より新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)と脳低温療法についてご講演いただきました。

胎児は子宮胎盤血流の低下をはじめとする様々な要因によって低酸素にさらされ、脳虚血をきたします。低酸素にさらされることで産生されるグルタミン酸を脳低温療法によって減少させることができ、LICORコンセンサスでも推奨されています。適応基準としては、(1)在胎36週以上で低酸素虚血のあった症例、(2)Apgar score 10分値≦5点、(3)蘇生時間が10分以上、(4)臍帯動脈血pH≦7.0、(5)Base deficit≧16、のうちどれか一つを満たした上で、Sarnat分類で中等症以上の脳症(傾眠、筋緊張低下、吸綴力低下など)や、脳波(aEEG)において中等度以上の異常を認める症例とされています。また、出生後6時間以内に開始されることが必須項目となっています。一方、除外基準としては、(1)生後6時間以上、(2)在胎週数36週未満、(3)出生体重≦1800g、(4)大奇形を有する症例、などが挙げられます。HIEのriskはApgar score5分値≦5点だと20.9倍、臍帯動脈血pH≦7.0で163倍、上記かつ気管挿管を行っていると340倍になると言われており、neuronal damageは直線的に増悪するため、できるだけ早期から冷却することが大切であるとされています。

脳低温療法導入の問題点としては、脳低温療法を要する新生児の出生は予測できないこと、低温療法導入を出生後6時間以内に判断しなければならないこと、脳波等の検査を必要とすることなどが挙げられます。今後、当院においても新生児専用の脳低温療法器も導入予定とのことであり、導入まで円滑に行うための運用方法の検討を要すると考えられました。また、HIEや脳低温療法を理解する上で非常に有意義なカンファレンスとなりました。(文責: 池ノ上 学)
 
2013.2
在宅で医療処置を継続する児の退院調整と現状の課題
  日 時: 2013年2月25日(月)17:00〜17:40
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  発表者: 7号棟5階 助産師・看護師 (村山、古谷、星野、佐々木、宮沢)
    【要旨】
在宅で医療処置を伴う児は長期入院化する傾向にあるが、A氏は比較的短期間で退院ができた。どのような介入が影響したのか考察した。そこから見えてきたのは、医師からの病状と予後の説明後、患者、家族を取り巻く医療者が家族の思いを傾聴しながら心理的サポートを行い、家族の意思決定を尊重し退院後の自宅療養の目標を共有すること、家族を支援する体制を作るということであった。
7号棟5階の長期入院が予測される児の実態と後方ベッドに空きがない状況やレスパイト病床の必要性について意見交換を行った。

【内容】
1.A氏の退院調整の事例報告
A氏は低酸素性虚血脳症の診断で、NICUに入院。気管内挿管後、DPAP、鼻カヌラを経て呼吸機能が安定。全身の筋緊張亢進を認めリハビリ科の介入を開始。医療処置として、口や鼻からの吸引、サチュレーションモニターの監視と必要時マスク換気、胃食道逆流症がありミルクはEDチューブから注入し速度調整を行った。母は出産後から児の予測される成長発達障害について説明を受け、予期しない事態を困惑しながらも7号棟4階の助産師に、また当病棟のNICU看護師の定期的面談を通じて気持ちを吐露しながら受容の経過を辿った。同胞も弟の出生を待ちわびていたこともあり家族として自宅で暮らしたいと早期から意思決定した。自宅で暮らすために母が不安に感じたことは、介護技術やサポート体制(人的支援や経済的支援など)であった。退院に必要な手技の獲得、病棟でのお泊りを企画し父母で経験してもらった。また地域のサポート体制を強めるため、当院の退院調整看護師から社会資源(資材や経済的援助など)について情報を提供してもらい、退院時には保健師、訪問看護ステーションの看護師、新生児科の医師、看護師、退院調整看護師で顔合わせをし情報の共有を行った。
計3回)出生後約6ヶ月半で退院した。

2.2012年度の在宅医療支援のケース、長期入院児、長期入院事例について報告
  • 今年度の在宅支援のケースは経管栄養や吸引、在宅酸素を使用し退院したケースが4例で疾患としては新生児仮死や超低出生体重児であった。
  • 長期入院になりそうなケースは、胎児水腫、先天異常(PDA、VSD、口唇口蓋裂)、肺高血圧症であった。
  • 長期入院事例としては18トリソミーの児は8歳で退院(7号棟5階)。滑脳症の児は1歳まで当科に入院しその後3N病棟へ転床し6歳、10歳で退院しているケースがある。

3.その他 意見交換
新生児科から小児病棟への転床は現在呼吸器をつけた長期入院児が多いことから困難な状況がある。地域における施設が少なく入院施設からの転院が困難。
両親への身体的負担が大きいことからレスパイト病床(自宅療養中の児を一時的にあずかり両親の身体的負担を軽減する病床)の必要性がある。
以上、児も両親も安心して在宅や施設で過ごせる環境作りの必要性を共有した。
(文責:中牧)
 
2013.1
2012年周産期統計
  日 時: 2013年1月28日(月)17:00〜18:00
  場 所: 3号館北棟1階カンファレンスルーム
  発表者: 春日義史先生(産科)・北東功先生(新生児科)・藤野明浩先生(小児外科)
    2013年初回の周産期カンファレンスは、毎年恒例となりました前年の統計発表を行ないました。

まずは産科領域ですが、2012年の総分娩数は535件(うち双胎は20件)であり、前年と比較して38件減少しました。帝王切開術は254件で、総分娩数に占める割合は約48%となりました。特に、帝王切開術施行決定から可及的速やかな娩出を要する超緊急帝王切開術は6件であり、主な適応は胎児機能不全でした。卵子提供後妊娠は11件と増加し、母体年齢36歳以上の高齢出産の割合は約50%でした。近年増加傾向にある子宮頸癌合併妊娠は5件であり、帝王切開術と同時に広汎子宮全摘術を施行した症例が3件で、妊娠経過中に化学療法を施行した症例が1例でした。胎児ハイリスク外来への紹介患者は108名で、そのうち48例について周産期管理を行ないました。

次に北東先生より新生児科の統計を報告していただきました。新生児病棟(NICU 9床、GCU 15床)には計637名が管理入院となり、前年と比較して23名増加しました。これは新生児搬送が79名(前年比 +46名)と増加したことが大きな要因となっています。このうち、NICU入院患者数は173名(前年比 +35名)、1500g未満は39名(前年比 +13名)、1000g未満は18名(前年比 +8名)でした。また、妊娠22-24週までの症例が9名と増加していました。合併奇形を伴う症例も多く、先天性心奇形は29名、腎・泌尿器疾患は4名、形成外科疾患は11名、小児外科疾患は16名でした。

最後に藤野先生による小児外科における新生児手術統計の発表をしていただきました。新生児手術症例は18例で増加傾向にあり、小児外科手術の約10%となりました。産科で胎内診断をした、もしくは胎内治療した症例のいくつかについて、術中写真を交えながら発表していただきました。具体的には、先天性肺嚢胞性疾患、胎児胸郭内に脱落してしまった羊水-胸腔シャントの抜去、腸閉塞による胎便性腹膜炎、繰り返し発症した腸回転異常症に伴う中腸軸捻転などでした。

今回の報告で、分娩数が減少している危機的状況を再認識する機会となりました。母体搬送の受け入れをなるべくスムーズに行なう方法を検討し、産科や新生児科のみならず、産科病棟・新生児病棟とも連携を取りながら分娩数を増やせるように一致団結していくことを確認しました。 (文責:春日)
 
2012.12
慶應義塾大学病院における授乳支援の現状と課題
  日 時: 2012年12月17日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  担 当: 7号棟4階 助産師 (松脇、高木、坂本、山本、渡邊 米澤、須賀)
    【要旨】
当院は、産褥期における母親は産科病棟(7号棟4階)で、新生児は新生児室(7号棟5階)におり、原則、母児異室の状態となっている。そのため授乳方法は、褥婦が時間授乳か自律授乳を選択して行っている。また、個室の褥婦は、希望により昼間のみ母児同室を行う「慶應式母児同室」を選択することが可能である。

今回、授乳支援の現状と問題点の把握、スタッフの認識の確認のため、7-4と7-5看護スタッフを対象にアンケートを実施した。その結果を踏まえて、当院の授乳に関して、看護師、助産師の立場から、産科医師、新生児科医師の立場から討議を行った。そして、今後も7-4と7-5のスタッフ全員が、母児にとってより良いケアを提供していくことを再確認した。

【内容】
1. アンケート結果報告 (回収率:74.2%)
1)時間授乳、自律授乳のメリットとデメリット
当院における病棟構造や褥婦の特徴を踏まえて、それぞれのメリットやデメリットを確認した。  

2)時間授乳、自律授乳で困っていること
新生児の欲求と授乳タイミングのずれや、自律授乳に関する病棟間の認識の相違(児の哺乳力や体重の増減、褥婦の育児技術習得状況や乳房の状態、褥婦を呼ぶタイミングの難しさ等)があることを再認識した。その上で、7-4助産師は褥婦の側から、7-5看護師は新生児の側から状況を判断しているために、相互における認識のずれが生じていることが確認できた。

3)授乳支援で改善したいこと
7-4、7-5スタッフ共に、「母児」にとって最良な方法で授乳を行うためのケアの提供が必要であることを再確認することができた。そして、母児が安全に授乳を実施できる環境づくりが必要であることを共通認識することができた。

2. 新生児科松崎医師による「母乳育児について」のプレゼンテーション。

3. その他
・母児同室のニーズに対応するために、早急にシステム構築の検討が必要との意見が出された。
(文責:菊地)
 
2012.11
当院における卵子提供後妊娠の治療背景と周産期予後に関する検討
  日 時: 2012年11月26日(月)17:00〜18:00
  場 所: 3号館北棟1階ラウンジ
  発表者: 春日義史先生(産科)
    卵子提供による体外受精は、現在増加しつつある生殖補助医療であり、本邦でも卵子提供後妊娠の周産期管理を行う機会が増えてきています。このような状況にあることから当院における卵子提供後妊娠の周産期予後について検討し、11月23日に浜松で開催された第6回早産予防研究会において「卵子提供後妊娠の治療背景と周産期予後に関する検討」というタイトルの下、発表いたしました。そこで、今回の周産期カンファレンスでは、卵子提供後妊娠の治療背景や周産期予後などの情報共有を行い、今後の日常臨床に役立てることを目的としました。

当院の卵子提供後妊娠症例の周産期予後として、双胎、切迫早産、前置胎盤の発症率は自己胚体外受精や自然妊娠と比較して有意に高率でした。その一方で、既報で伝えられているような妊娠高血圧症候群の発症率は高い傾向にはあるものの、有意差はありませんでした。有意差が出なかった理由としては、卵子提供後妊娠の症例数が少なかったことや当院での自然妊娠群、自己胚体外受精群の母体年齢が高いことが考えられました。双胎妊娠が多いことについては複数個の胚移植をしていることが原因と考えられました。また、後半ではフロアの先生の意識調査結果も交えつつ討論を行い、その中で生殖班の久慈先生や浜谷先生などから諸外国における卵子提供の実情を、菊池師長さんからは出産後の患者さんの一面やサポート方法などを説明していただきました。また、ちょっとした疑問やなるほどと思わされるような御意見までいただき、卵子提供後妊娠について改めて確認し勉強できるよい機会になりました。(文責:春日)
 
2012.9
最近経験した胎児胸水症例を振り返って
  日 時: 2012年9月24日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  発表者: 春日義史先生(産科),木下眞里先生(新生児科),藤野明浩先生(小児外科)
    胎児胸水の原因としては先天性の乳糜胸水,ウィルス感染,胎児肺腫瘍,染色体異常があげられます。胎児胸水重症例では胸腔羊水腔間シャント留置術が有効とされ,2012年7月には本邦においてもダブルバスケットカテーテルによる胎児治療が保険適応となりました。

今回の周産期カンファレンスでは,最近経験した胎児胸水例(3症例)の臨床経過を振り返りました。まず産科からは胎児期の経過について提示し、続いて小児科の木下先生から新生児経過をお話ししていただきました。3症例とも妊娠20週台後半に胎児胸水を指摘され,当院胎児外来に紹介受診となりました。いずれも両側性胸水を認め,3例中2例は胎児水腫に伸展しました。全例においてシャント留置により胸水減少を認めたものの,2例ではシャント不全による胎児水腫の増悪のために早産分娩(各々妊娠30週および妊娠31週で帝王切開)となりました。一例目は特発性胸水に該当しましたが、連日大量の胸水除去を必要とする新生児管理困難例でした。また、二例目は右頸部〜頬部にかけての血管腫に伴う高拍出性心不全を呈したものと考えられました。この血管腫は胎内では検出できなかった病変であり,シャント留置後の難治例では注意深い原因検索が必要であること実感したました。なお、血管腫に対してはステロイドが著効し、現在経過良好です。三例目では2度のシャント留置を要しましたが現在経過良好であり,妊娠37週時に選択的帝王切開予定です。

小児外科の藤野先生からは出生後の管理,特に胸水ドレナージ・中鎖脂肪酸(MCT)ミルク・絶食を中心とした保存的治療、さらには外科的治療について説明していただきました。また,長期にわたる保存的治療が奏効せず,結果的にリンパ管シンチグラフィーによる漏出部位の確認が手術療法の適応判断に有用であった症例の臨床経過を提示していただきました。

両側性胸水は肺低形成のハイリスク群であり,特に胎児水腫兆候が出現した場合には積極的な胎児治療が児の予後改善に寄与するとされています。また,出生後には原因検索と保存的治療が,治療抵抗例では外科的な介入が必要になります。胎児胸水例は産科・小児科・小児外科の円滑な連携が重要とされる疾患であることが再認識されたカンファレンスでした。(文責:春日)
 
2012.7
出生前診断の最近の話題
  日 時: 2012年7月23日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 佐藤卓先生
    今回は佐藤卓先生より、出生前診断の最新のトピックスについてお話しいただきました。

出生前検査における確定的検査として羊水検査、絨毛検査があります。これまで羊水検査による流産率は1/200といわれてきましたが、手技の改良、特に超音波検査ガイド下での穿刺法の導入により、流産率はわずかに0.06% (1/1667)であるとする最近の調査結果が示されました。心のやすらぎを求めて検査を考えている妊産婦に対して、いたずらに不安を煽らずに安全な検査の1つであると伝えても良いのではないかといえます。また、解析についてはG-band法に比較してFISH法では迅速な診断が可能ですが、使用するプローブ数が限られるという欠点があります。これを解決する方法として、近年、Array CGH (Comparative Genomic Hybridization) が導入されつつあります。現時点ではG-band法やFISH法を含む従来法が第1選択の検査となっていますが、超音波検査で異常を指摘されたものの従来法では正常核型と診断された事例や、検査に先立つ細胞培養が不良で解析困難な症例では、array CGHが適応されます。しかし同時に、Array CGHにより全染色体情報の診断が可能となるため、遺伝カウンセリングの実施も必要不可欠となります。また、非確定的検査として母体血清を用いたスクリーニング検査やNT検査があります。これまで母体血清マーカー検査としてトリプルマーカー検査などが行われてきました。しかし、検査前のカウンセリングもなく、主として営利目的に急速に普及した点が問題となっており、妊婦に対して誤解に基づく不安を与えてきた可能性があります。またNT検査のみではダウン症候群の検出率は64-70%程度と低く、NTと母体血清マーカーを組み合わせたスクリーニングが必要になります。欧米ではNTに関してすでにライセンスシステムが整備されており、英国のFMFと米国のNTQRがそれに相当します。しかしながら、日本においては、NTに関する検査システムやNT値の解釈について、いまだ一定の見解が得られていないのが現状です。

出生前診断に関する最新の話題として、母体血中の胎児由来マテリアルを用いた低侵襲的出生前診断も示されました。母体血漿中のDNAフラグメントに胎児由来の断片は 6%から13%程度存在するといわれており、以前から注目されていましたが、新しいシーケンサーとバイオインフォマティクスの登場により、実際の解析が可能となりました。米国ではすでにこの検査をコマーシャルベースで実施する検査機関が複数存在します。感度についても21トリソミーは99.1%、18トリソミーは99.9%、13トリソミーは91.7%と非常に高値となっており、近い将来、日本にも導入されると考えられます。

以上のように、出生前診断に関する技術の急速な進歩に伴い、生殖・遺伝カウンセリングは極めて専門性の高い必要不可欠な分野であると考えられます。また、それは夫婦の中に希望を見出す、極めてやりがいのある仕事です、との言葉で締め括られました。(文責:池ノ上)
 
2012.6
予後不良と考えられる児の出生後の対応について
  日 時: 2012年6月25日(月)17:00〜18:00
  場 所: 北棟1階ラウンジ
  講 師: 峰岸先生(産科),三輪先生(小児科)
    最近私たちは、御両親が出生後の蘇生を希望されなかった妊娠22週時の早産例を経験いたしました。予後不良と考えられる児の出生後の対応について、当院産科・小児科スタッフで共通の認識を持つべく今回の周産期カンファレンスを開催しました。
まず、峰岸先生から症例の概要を説明していただき、次に小児科の三輪先生からは、我が国における在胎22週児の生存率は約30〜40%であり、生存児の約半数で後遺症を認める現状を説明していただきました。実際、当院での在胎22週生存児に関しても精神発達遅滞や視力障害などの合併症発症が課題となっております。このように新生児医療の進歩にも関わらず在胎22週児の予後はいまだに厳しく、新生児蘇生ガイドライン(Neonatal Resuscitation, 2010 consensus)においても、在胎23週未満や出生体重400g未満など、生命予後や神経学的予後が著しく不良と予想される場合には「Withholding Resuscitation(蘇生の差し控え)」も含め、最終的には現場の状況で対応を判断すべきであると記されております。また、三輪先生には最近行われた在胎22週児の蘇生に関するアンケート調査結果や、在胎22週であっても児の全身状態が良好であり通常の蘇生措置に反応する場合は集中治療を継続することを原則とする総合周産期センターの事例も御紹介いただきました。
Discussionでは両親への対応も含め様々な意見が交換されました。限られた時間の討論ではありましたが、当院が周産期センターであるという立場に基づき、従来同様に妊娠22週以降の出生に対しては原則として新生児科医師による蘇生を行うことが再確認されました。(文責:池ノ上)
 
2012.5
新生児壊死性腸炎について
  日 時: 2012年5月28日(月)17:00〜18:00
  場 所: 北棟1階ラウンジ
  講 師: 北東先生(小児科),三輪先生(小児科),藤野先生(小児外科),下島先生(小児外科)
    今回の周産期カンファレンスでは、小児科および小児外科の先生方に新生児壊死性腸炎について、当院および他院のデータをもとに、お話しいただきました。
まず、小児外科の藤野医師より成育医療センターでの2003年〜2010年の新生児壊死性腸炎(NEC)の統計が示されました。極低出生体重児613例中、NECは 23例、超低出生体重児299例中、NECは15例であり、全体として4.2%でした。さらに腸管穿孔は全体の1.2%で認められました。NEC38例中、死亡例は4例であり、そのうち、腸穿孔をきたしたのが2例、meconium peritonitisからの多臓器不全が1例、NECのみが1例でした。次に、小児科の北東医師、三輪医師より、当院での統計が示されました。平成18年から23年まで、年間3〜4人のNECを認めており、25週以下の3割がNECとなっている一方、28週以降の症例ではNECは認められませんでした。他施設との比較でも当院でのNECの頻度が高いことが示されました。最後に、小児外科の下島医師より、NECに対する治療について御説明いただきました。一般的に、内科的治療として禁乳、NG tube挿入、ドレナージ、抗生剤投与が行われ、外科的加療として壊死腸管切除やストマ造設が行われます。外科手術の適応として腸管穿孔、腸管壊死、全身状態の増悪例が挙げられます。また、超低出生体重児に対して耐術能の観点から手術時間短縮のために、まず初回手術として壊死腸管のクリッピングのみを行い、全身状態の安定したところで、腸管吻合やストマ造設を行うという二期的手術(dip and drop back)についても御説明いただきました。
NECの原因としてはPDA開存に対するインドメサシン投与などがありますが、他施設に比較し、当院でNECの頻度が高いことについて議論が交わされました。原因の一つとして、当院では生殖補助医療を経て妊娠した高齢妊婦が多いことが考えられました。高齢妊婦は妊娠高血圧症候群(PIH)の有病率が高く、重症化すると子宮内胎児発育遅延(IUGR)を来きたします。当院ではIUGRに対して、ドップラーエコーなどで胎児血流を評価しながらできるだけ在胎週数を延長させるという方針ですが、その経過で徐々にbrain sparing effectによる腸管虚血が進行し、NECのリスクが増加している可能性があると考えられました。
児の予後にとって腸管は脳と同等に大切であり、神経学的予後はよくても腸管合併症から手術が必要になるような例は予後不良となります。神経学的予後のためには在胎週数の延長が不可欠ですが、腸管保護の観点からは在胎週数を徒に延長させるのではなく、適切なタイミングでのterminationが必要と考えられ、今後、IUGR児の腹腔動脈や門脈等の腸管血流の評価について検討していく必要があると思われました。(文責:池ノ上)
 
2012.4
ボストン滞在記〜米国産科医療の現場から〜
  日 時: 2012年4月16日(月)17:00〜18:00
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 秋好順子先生
    私は2009年5月より3年弱夫の研究留学に伴ってアメリカ東海岸、ボストンに滞在し、マタニティーサポートグループというものを立ち上げ、日本人の妊婦さんを応援する活動をしてきました。主な活動内容は2ヶ月に一度ピアノのある会場に集まり前半は音楽、後半は妊婦さんのちょっとした質問に医師や助産師、出産経験のあるママさんが答える、というものです。日本の病院での両親学級のように助産師や医師から妊婦さんへの一方的なレクチャーという形ではなく、皆で座ってピアノ演奏を聴いたり、座談会のような形で妊婦さんとおしゃべりしたりという、とてもリラックスした会です。
こういった活動を継続してきたことで意外とハードルの高い病院見学をさせていただける機会を得ました。1つは全米で常にトップ10に入る大病院ブリガム&ウィメンズ病院です。ここはハーバード大学付属病院のような位置づけで関連病院の中でも最大級です。ベッド数は約750床ですが、医師・レジデントが3000人、研究者が1000人、看護師が2800人勤務しています。 年間の分娩数は8000件以上というとんでもない数で、産科に勤務する人数は正確な医師数はよく分かりませんでしたが、レジデントが約60人、助産師25人という巨大病院です。大病院ですが管理が非常にきちっとマニュアルに沿っていて整然と管理されている印象を受けました。もう1つは、マウントアーバン病院という中規模の病院です。中規模と言っても年2260件の分娩を取り扱い、助産師主導で分娩を扱う取り組みを古くから取り入れているのが特徴の病院です。ここでは初診時に、医師に受診するか助産師に受診するか聞かれます。医師を選択すると他の多くの病院とほぼ変わらないのですが、助産師を選択するとリスクがない限り、初診から出産して退院するまで一度も医師には会うことなく全て助産師のみで完結します。ここでは、初期のがん検査、ルーチンの検査のオーダー、処方、等なんでも助産師だけでやっています。中規模な病院なのでいざ何か心配なことがあれば気軽に医師にコンサルトできるのも良い点です。助産師外来の試みがなされた当初は助産師がとる分娩数は年170件だったそうですが、年々増え現在では全分娩数の約40%の850件をとっているそうです。助産師は分娩時のナートはもちろん、VBAC、吸引分娩もできるトレーニングを受けた助産師もいました。また、アメリカでは日本ではなかなか進んでいない地域連携もしっかりしており、病院見学は大変貴重な経験でした。(記 秋好)
 
2012.3
NICUにおける母乳育児支援について
  日 時: 2012年3月26日(月)17:30〜18:30
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講 師: 鎌田直子,河野美紀,横田百合子,小峰賢也,平野早苗,中村有里,伊藤綾子(NICU看護師)
    近年、NICUにおける母乳育児のガイドラインとして、直接授乳を成功させるためには、母乳分泌を維持することやNICUスタッフが様々な技術や支援方法を身につけることが重要であると示されています。今回の周産期カンファレンスでは、昨年の4月に同じテーマで発表していただいたNICUスタッフの方に、前回の課題を踏まえ、その後の取り組みや成果について御発表いただきました。
NICUでの母乳育児支援についての2010年度の課題としては、7号棟4階病棟の助産師スタッフとの連携が不十分である点やNICUスタッフの母体へのケアが充実していない点が挙げられました。これに対して、まず、今までの各病棟間のリーダー連絡に加え、SMCなど7号棟4階病棟での母乳ケア状況の情報も共有し母乳分泌の維持を図ることで、助産師スタッフとの連携が深まり、特に低出生体重児においてスムーズな初回授乳が可能となったとのことでした。また、NICUスタッフの統一したケアの習得や合併症を有する児などに対する母乳ケアプランの作成により、母乳育児への意向や授乳状況をスタッフ間で共有することが可能となり、その結果として、NICUスタッフの母乳ケアが充実したとの報告がありました。最後に、今後も7号棟4階スタッフとのより充実した連携の構築と、NICUスタッフ個人のさらなる技術および知識の習得により、より円滑に母乳育児を支援していきたいとのことでした。(記:松本)
 
2012.2
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と妊娠
  日 時: 2012年2月27日(月)17:30~18:30
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講師: 宮川義隆先生(血液内科),北東功先生(小児科),峰岸先生(産科)
     特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、生殖年齢層の女性に多く発症する自己免疫性血小板減少症であり、妊娠に合併する割合は1~2/1000とされる。また、妊娠中および分娩時の母体出血リスクが増大することや、胎児への抗血小板抗体移行による新生児血小板減少症を発症する可能性があるため、その管理は慎重に行う必要がある。今回のカンファレンスでは、実際に重症新生児血小板減少症を発症したITP合併妊娠例を振り返るとともに、当院血液内科の宮川義隆先生から近年のITP診療と妊娠についてお話していただいた。
 はじめに、重症新生児血小板減少症を発症したITP合併妊娠例について、産科・小児科からそれぞれ妊娠分娩経過および新生児臨床経過について報告があった。
 続いて、血液内科の宮川先生より、ITP診療の進歩と題して、ITPの内科治療やITP合併妊娠の管理のup to dateについて、最新の国内、米国血液学会ITP診療ガイドラインをもとに発表していただいた。具体的には、まず妊娠中に発症する血小板減少症やITPの症状、病態、第一選択治療についての基本的な知見について確認した。次に、妊娠中のITP患者に対して治療を開始すべき血小板数を示すエビデンスがないこと、分娩時に安全とされる血小板数が不明であることが紹介された。当院には高リスクの分娩が多く、帝王切開へ移行する可能性を考慮し、一般的に外科的手術が可能な5。0x104/μl以上を分娩時の目標とすることについて、出席した産科医、麻酔科医、血液内科医で意見交換された。胎児の血小板数を予測する明確な因子は現在のところなく、直接知る方法として臍帯穿刺による胎児採血などがあるが、周産期リスクが高く、推奨されないとされた。また、国内、米国ガイドラインともに、新生児における血小板減少に伴う脳内出血の発生率は分娩方法とは無関係とし、従って分娩方法は、産科的適応に基づいて決定されるべきとの認識が示された。最後に、今後の予定として、難治性ITPに対する新しい治療薬に、トロンボポエチン受容体作動薬や、慶應大学が医師主導治験を進めている抗Bリンパ球抗体リツキシマブが期待されると話された。
 今回のカンファレンスにより、ITP合併妊娠の病態や、管理の要諦に対して、産科・小児科・血液内科で相互に理解を深めることができ、今後の診療において役立つものとなった。(記:峰岸)
 
2012.1
2011年周産期統計
  日 時: 2012年1月30日(月)17:30〜18:30
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  講師: 松本先生(産科),北東先生(小児科),下島先生(小児外科)
     本年1回目の周産期カンファレンスでは、例年とおりに前年度の統計発表をおこないました。
 まず、産科領域としては、2011年の総分娩数は573件(双胎16件を含む)であり、前年に比べ46件の減少でした。帝王切開分娩は243件、そのうち126件は緊急帝王切開でした。特に、帝王切開術施行決定から可及的速やかな娩出を要する超緊急帝王切開術は4件であり、主な適応は胎盤早期剥離でした。また、周産期管理例の約20%はIVF-ET/AIH後妊娠(卵子提供後妊娠紹介4例を含む)、約50%は高齢妊娠(母体年齢≧36才)、早産分娩は109件(19%)であり、いわゆるハイリスク妊娠の周産期管理が主体でした。
 次に北東先生から新生児班の統計として、新生児病棟(NICU 9床、GCU 15床)には計614名が管理目的で入院となり、このうち、NICU入院患者数は極低出生体重児(出生体重1000g-1499g)26名、超低出生体重児(出生体重1000g未満)10名を含む138名とのことでした。また、過去6年間における超低出生体重児の生命予後は、出生体重500g未満では17名中12名(70%)、出生体重500g-1000g未満では86名中82名(95%)でした。
 最後に下島先生から小児外科における新生児手術統計の発表をしていただきました。手術数は16件でこの5年間の中では最も多く、その理由の一つとして切迫例を含む低出生体重児の腸穿孔症例が例年に比べて多かったことが挙げられました。印象に残った症例としては妊娠22週時に胎児水腫に進展するも、妊娠の進行に伴い縮小傾向を示した先天性肺嚢胞性疾患、全小腸および結腸が完全壊死に陥り救命できなかった新生児壊死性腸炎、生後1日で出現した原因不明の限局性の回腸拡張などがありました。
 今年も超早産児や心疾患および外科疾患を有する児の“intact survival”での救命のため、知識、技術の向上に励むとともに、他科との良好な連携を維持していきたいと考えています。(記:松本,宮越)
 
2011.12
7号棟4階における災害時の対応を考える 〜東日本大震災を振り返って〜
  日 時: 2011年12月19日(月)17:30〜18:30
  場 所: 北棟1階ラウンジ
  担当: 7号棟4階 助産師(平井、中野、櫛部)
    2011年3月11日(金)に東日本大震災が発生した。

今年度に入り、震災当時の行動を振り返り、今後に同様の災害が発生した際、迅速かつ適切に医療スタッフそれぞれが行動できることを目的に取り組んできた。マニュアルの改正や医療スタッフそれぞれの役割の確認等を行い、毎月、震災シミュレーションを繰り返し実施したことを発表し、産科医師や小児科医師、7号棟5階看護スタッフと共に災害時のよりよい対応方法について検討する機会とする。

内容
  1. 2011年3月11日(金)東日本大震災の発生当時、7号棟4階の状況について報告
  2. 防災意識を高めるための防災訓練(シミュレーション)の実施状況
  3. 災害発生時の医療スタッフの役割内容の確認
    ・班長は医師、副班長は師長または主任、休日・夜間帯はリーダー
  4. 医師への確認事項
    ・静脈注射による子宮収縮抑制剤使用患者の対応は?
    ・手術後患者の膀胱留置カテーテルの対応は?
  5. 防災用品について
    ・ヘルメット等の整備
    ・非常持ち出し物品の内容点検
    ・レスキューキャリーマットの活用方法
  6. 避難経路の確保の実際
  7. 今後の課題
    ・医療者各自が、自己の安全を確保しつつ冷静に判断できる危機管理能力を養う
    ・医師と看護師、看護助手やクラーク、そして7号棟4階と5階それぞれが各自の役割を理解した上で、連絡連携を取りつつ対応する
今回は、ディスカッション方式を取り入れ、周産期カンファレンス参加メンバーと当時の状況を確認した。そして、今後の対応策をそれぞれの役割から検討し、災害時の心構えを養うことができた。(文責:菊地)
 
2011.10
新生児仮死の対応(脳保護療法)
  講 師: 三輪先生(小児科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年10月31日(月)17:30〜18:30
    今回の周産期カンファレンスは小児科の三輪先生に「新生児仮死の対応」というタイトルで、主に脳保護療法について御講演いただきました。
まず、新生児仮死の定義や病態、治療について御説明いただきました。内容としては、新生児仮死による脳障害には、受傷後6〜12時間以内に生じ、低酸素・グルコース供給不足による脳細胞の壊死(ネクローシス)が原因となる一次性脳障害と、それ以降に生じるフリーラジカルや活性酸素による脳細胞の破壊(アポトーシス)が原因となる二次性脳障害に分類され、最近では、この二次性脳障害に対して神経学的予後改善を目的とした脳保護療法、特に脳低体温療法が施行されるようになってきたとのことでした。
また、一般的に出生直後の児の状態を評価する方法としてはアプガースコアを用いるが、アプガースコアは成熟児の神経学的予後の予測には不向きであり、低体温療法の適応を決定するにはより細かいSarnat分類を用いること、出生直後の成熟児でSarnat分類2度以上が脳低体温療法の適応となること、脳低体温療法のNNT(Number needed to treat)は9であり、9人に低体温療法を施行し1人の神経学的予後が改善する程度の治療効果であること等も御説明いただきました。
最後に、残念ながら当院にはまだ脳低体温療法の設備が導入される予定は無いものの、過去6年を振り返ると当院において同療法が適応となる新生児仮死症例は出生していないとのことでした。
今回の講演により新生児脳障害の病態および治療について理解を深めることができました。今後の診療に役立てていきたいと思います。(記:松本)
 
2011.9
妊婦および新生児の皮膚病変
  講 師: 山上先生(皮膚科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年9月26日(月)17:00〜18:00
    今回の周産期カンファレンスは皮膚科の山上先生に「妊婦および新生児の皮膚病変」というタイトルで御講演いただきました。
まず、妊婦における皮膚病変は色素沈着や俗に言う妊娠線である妊娠線状萎縮などの妊娠に伴う生理的変化以外に、妊娠性疱疹や疱疹状膿痂疹などの妊婦に特異的に発症する皮膚病変や、SLEや多発性神経繊維腫症、悪性黒色腫などの妊娠によって悪化する非特異的な皮膚病変が存在することが理解できました。特に発症頻度は稀ですが、妊娠性疱疹は基底膜部に対する自己抗体が原因である類天疱瘡の一種であり、妊婦においてステロイド外用剤で改善しない痒疹の場合、この疾患も念頭に入れておくべきであるとのことでした。また、新生児における皮膚病変として、紅斑や膿疱、水疱、紅皮症、色素斑などの各症状について御説明いただき、先天性表皮水疱症は、原因部位により単純型、接合部型、栄養障害型に分類され、各々の病態により予後が大きく異なることを御説明いただきました。最後に、新生児皮膚疾患は症状も原因も多岐にわたり、それらの組み合わせを吟味した上で治療法を決定していくことが重要であるとお話しいただきました。
今回の講演により日常診療で対応に苦慮することの多い皮膚病変への理解を深めることができました。今後の診療に役立てていきたいと思います。(記:松本)
 
2011.7
新生児早期死亡をきたした肝血管腫の一例を振り返って
  講 師: 松本先生(産科)、松崎先生(小児科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年7月25日(月曜日)17時30分〜18時30分
    今回の周産期カンファレンスは、胎児診断を行ない、出生前から産科・小児科・小児外科で十分な症例検討を行っていたにもかかわらず、出生後、早期新生児死亡に至った胎児肝腫瘍症例について、あらためてその周産期管理についての振り返りを行ないました。
本症例では、肝芽種の胎内診断の下、腫瘍のサイズや心不全兆候の有無について慎重に経過観察を行い、胎内環境が良好であったことから、妊娠36週時に自然経腟分娩となりました。しかしながら、病理解剖の結果として肝血管腫であったことや出生時に児にDICを認めたことなどから、胎内診断は困難であるものの、肝血管腫の可能性および肝血管腫の胎児合併症、特に4cm以上のいわゆる巨大肝血管腫は、胎内でDICや心不全を発症しやすく、新生児死亡率は70〜90%にもおよぶことなどを考慮した出生前管理が重要であると考えられました。また、出生後の病態についても小児科の松崎先生からご説明いただき、本症例ではDICに対して内科的治療を優先しましたが、DICを呈しながらも早期に手術療法を施行し救命し得た過去の報告例も散見されており、手術時期についても今後の検討課題であると考えられました。
胎児肝腫瘍は比較的稀な疾患ですが、今回のカンファレンスにより、同疾患に対する知見を深めることができ、今後の診療に役立つものとなりました。(記:小田)
 
2011.6
口唇口蓋裂の治療について
  講 師: 形成外科 宮本先生
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年6月27日(月曜日)17時30分〜18時30分
    わが国において口唇口蓋裂は400〜600名に1名の割合で出生すると考えられ、その原因として母体の妊娠期間中の喫煙、飲酒、抗てんかん薬の服用や遺伝子異常などが挙げられます。当院産科では口唇口蓋裂を出生前診断された児の周産期管理を行なうことも多く、産科・小児科・形成外科との連携が重要と考えられます。そこで今回は、形成外科の宮本先生に口唇口蓋裂の治療に関してお話ししていただきました。

まず、口唇口蓋裂の種類について御説明いただきました。次に口唇口蓋裂治療の流れに関して示していただき、初回手術は出生後約2〜3か月の時点で施行していること、初回手術までに行なうテーピングや鼻腔の矯正がその後の手術にとって非常に重要な役割を持つこと、手術は成長にあわせて数回必要になり、成人期には美容的な面からも手術を行なうことがあることなどが理解できました。また、出生前診断例では、出産前にご両親に形成外科受診をしていただくことで、病状および出生後の治療の必要性をあらかじめ説明でき、病気への理解や病状の受け入れがスムーズになる、また医療者側にとっても、あらかじめ手術の日程を組んでおける、など利点が大きいとのことでした。

今回の宮本先生の講演により、口唇口蓋裂の治療の流れや、大きな正中の口唇口蓋裂症例も機能的および形態的に治癒可能であるという治療法の進歩について理解を深めることができ、今後の病状説明などにおいて大いに役立つものとなりました。(記:松本)
 
2011.5
当院における超低出生体重児の長期予後について
  講 師: 小児科 有光先生
  場 所: 孝養舎2階マルチメディアルーム
  日 時: 2011年5月23日(月曜日)17時30分〜18時30分
    慶應義塾大学病院産科では、年間約15〜20名の超低出生体重児(出生体重1000g未満)が出生しています。これらの児の長期予後については、周産期医療に関わる医師にとって大変興味深いものです。そこで今回は、小児科の有光先生に2006年〜2007年に当院で出生し経過観察中の超低出生体重児(計21名)の4歳時の発達についてお話しいただきました。

まず、当院NICUでの経過良好例および不良例(各々1例)をもとに、在胎週数が同程度であっても、長期予後が大きく異なることを示していただきました。次に当院で出生した超低出生体重児の4歳時予後を全国平均と比較してわかりやすく解説していただきました。その結果、予後良好例は15名(71%)であり、当院出生児は全国平均よりも総合発達評価正常例が多いことがわかりました。また、脳性麻痺発症頻度は全国平均と同等であるものの当院では在宅酸素療法を要する児が少ないこともわかりました。一方、周産期事象として、IUGRおよび絨毛膜羊膜炎(CAM)の発症頻度はそれぞれ57%および43%であり、出生後にはRDSおよび脳室周囲白質軟化症・脳内出血(PVL・IVH)をそれぞれ79%および10%に認めました。総合発達境界群および異常群において、CAM、PVL・IVHおよび壊死性腸炎を認める割合が高く、これらの事象が4歳時での児発達に寄与する可能性が高いことが示唆されました。産科医としてIUGRやCAM といった産科事象の重要性を再認識するとともに、有光先生の講演内容は今後の妊婦さんへの病状説明等において大いに役立つものとなりました。
なお、今回の周産期カンファレンスには、内容に興味を持たれた聖母病院の助産師スタッフの方々にもご出席いただきました。院外の方の御参加も常時受け付けていますので、参加を御希望される方は産科周産期班の宮越もしくは松本までお問い合わせいただければと思います。(記:小田)
 
2011.4
NICUにおける母乳育児支援について
  講 師: 岡村舞子、緒方香(NICU看護師)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年4月25日(月曜日)17:30-18:30
    今日世界では約3秒に1人の割合で、5歳になる前の幼い命が失われています。その要因の一つとして適切な新生児ケアの欠如が挙げられ、その‘適切な新生児ケア’の鍵となるものが、母乳による育児と考えられています。そこで、近年ユニセフやWHOによる「赤ちゃんにやさしい病院(baby friendly hospital,BFH)」の展開など、母乳育児を支援する動きが各所で見られるようになってきました。今回はこのような状況をふまえ、当院NICUにおける母乳育児支援について、NICUスタッフの岡村さん、緒方さんにお話しいただきました。
まず、母乳育児の利点としては、母乳には免疫物質や免疫担当細胞が豊富に含まれ、胎児の免疫能上昇やアレルギー予防に有効であること、また、豊富な栄養素が含まれ、胃内停滞時間の低下や腸管感染症ならびに新生児壊死性腸炎の発症率低下などに寄与することが挙げられ、その結果、未熟児においても早期の母乳投与が推奨されるようになったとのことでした。また、当院NICUにおける実際の母乳育児の推進活動を検討した結果、母乳育児の推進につながった要因として、早期の母乳分泌促進や搾乳の開始および継続、母乳育児の環境整備とその情報把握といった項目の重要性が挙げられました。一方、母親へのケアの内容が統一されていない点や情報の共有化の不足などにより母乳育児が難航した症例も散見されたとの報告がありました。
今後は今回指摘のあった点を改善し、NICUに入院したすべての新生児とその母親が、搾乳に始まり、可能な限り早期に直接授乳の経験を重ね、NICU退院後も母親が主体的に、出来る限り長期に母乳育児を継続することができるようになることが重要であると考えられました。(記:小田)
 
2011.2
当院の和痛分娩を振り返って(仮題)
  講 師: 宮越 敬先生(産婦人科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年2月28日(月曜日)17:30-18:30
    宮越先生には、自験例(2005年〜2010年、300例)を中心に産痛緩和を目的としたiv-PCAの安全性および効果についてわかりやすくお話ししていただきました。
iv-PCA施行中の母体副作用は「やや傾眠」「軽い悪心」のみであり、中止を要するほどの重篤な副作用は発生しませんでした。また、周産期事象として分娩所要時間の延長や帝王切開率の減少を認めましたが、新生児に関して有害事象は認められませんでした。産痛緩和効果・満足度の評価では、一定期間の「痛み指標」の低下を認め、約7割の産婦が「満足」「やや満足」と感じていました。さらに、この5年間でfentanylの総使用量を調整するなど、母児にとってより安全に使用できる産痛緩和法として洗練されてきたことがわかりました。人手と手間のかかる無痛分娩を希望者全員に遂行できない場合、簡便かつ安全に使用できるiv-PCAが一定の効果を示す産痛緩和法として有用であることを認識いたしました。(門平 記)
 
2011.1
周産期臨床統計2010
  講 師: 産婦人科 梅津先生、小児科 北東先生
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2011年1月24日(月曜日)17:30-18:30
    2010年周産期統計
    産科梅津先生からは総分娩数、母体搬送数などについて、新生児科北東先生からはNICU入院児の新生児予後を中心に詳細なお話がありました。2010年の総分娩数は615件となり、2004年以降増加傾向です。母体搬送については88件の依頼に対して38件(43.2%)の受け入れが可能でした。また当院NICUにおける出生体重1000g未満の形態異常を有さない児の新生児予後は例年通り良好でした。2010年はNICU病床拡大に伴い、母体搬送件数・新生児搬送件数は増加しました。2011年も大学病院としての教育・研究機能を維持しつつ、妊婦さんと赤ちゃんに優しい医療を目指して関係者一同がんばっていきたいと思います。(梅津 記)
 
2010.12
会陰 III 度裂傷の看護について
  講 師: 牧野由里恵、今野奈保、高木彩加(産科病棟 看護師)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2010年12月20日(月曜日)17:30-18:30
    会陰裂傷とは、おもに分娩時に会陰が十分に伸展せず裂傷を起こすことで、その程度によって4つに分類されています。I 、II 度の会陰裂傷では会陰の皮膚、粘膜、筋層までの損傷となりますが、III 度では肛門括約筋の損傷、IV 度では肛門または直腸粘膜の損傷を伴います。会陰裂傷 III、IV 度を伴った褥婦では日常生活に支障が出ることもあり、退院後の生活指導を含めた産科病棟での看護に関して、実際の症例をふまえてご紹介いただきました。
看護の要点としては、(1) 会陰部の疼痛緩和、(2) 創部の感染予防、(3) 排泄コントロールを挙げ、実際の病棟での取り組みにつきお話しいただきました。また、肛門括約筋損傷に伴う便失禁に関しては「キーゲル体操」(=骨盤底筋、腟、肛門の筋肉を引き締める体操)をお勧めし、退院後も自宅で続けるよう指導しているとのことです。また、IV 度の会陰裂傷を伴った褥婦では、退院までに疼痛や便失禁が改善しない例も多く、自宅および外来でも継続できるケアが必要です。今回提示していただいた症例ではいずれも産後の1ヶ月健診時には外科的処置の必要なく、症状改善しており、今後も医師・看護師で連携をとった対応が重要であると考えられました。(梅津 記)
 
2010.11
分娩時大量出血が予想される症例における手術管理について
  講 師: 峰岸先生(産婦人科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2010年11月22日(月曜日)17:30-18:30
    今回は、産科危機的出血の代表的疾患である前置癒着胎盤の帝王切開前後の周術期管理について、産科、新生児科、放射線診断科、麻酔科の医師を交えてカンファランスを開催いたしました。
産科の峰岸先生より、本年10月に提案された産科危機的出血への対応ガイドラインについて紹介していただきました。続いて、過去5年間の当院における前置癒着胎盤の症例を対象として、超音波・MRIによる診断精度についてお話がありました。さらに、大量出血の可能性が高い症例を振り返り、術前のリスク評価について提案していただきました。
続いて、放射線診断科の井上先生より、Interventional radiology(IVR)の概要をご説明いただき、当院では24時間 IVRの手技に熟練した放射線科医が待機しているという心強いお言葉をいただきました。
止血制御とともに子宮温存も可能であるIVRを含めた帝王切開の周術期管理について、さらなる症例蓄積により産科危機的出血に対する管理基準作りを進めていく必要性を感じました。(記:梅津桃)
 
2010.10
周産期・小児系院内安全対策セミナー
  講 師: 司会:小児科 山岸敬幸先生
挨拶:麻酔科 森崎先生
演者:1. 周産期・小児系病棟の事故報告書分析 - 医療安全対策室 稲垣師長
   2. 周産期・小児系病棟の呼吸管理と問題点 - 小児科呼吸管理WG委員 肥沼先生
   3. 呼吸器使用中の新生児の看護 - 7号棟5階看護師 廣明さん
   4. 小児用医療機器の安全管理 - 医用工学センター 平林さん
  場 所: 北里講堂
  日 時: 2010年10月26日(火曜日)17:30-18:30
 
2010.09
不妊治療後の妊娠・出産
  講 師: 西川明花先生(産婦人科)
  場 所: 新教育研究棟4階 講堂3
  日 時: 2010年9月24日(金曜日)17:30-18:30
    生殖医学アドバンストコース在籍中の西川先生には不妊治療後の妊娠分娩の予後について、最近の報告を含めわかりやすくお話いただきました。体外受精後の妊娠が必ずしもハイリスクというわけではないものの、一卵性双胎の増加やインプリンティング異常の発生との関連が指摘されております。また、体外受精を受ける女性は高齢であることが多く、いわゆる高齢出産というリスクを無視できないのも事実です。昨今の社会背景から今後さらに不妊治療による妊娠数が増加することが予想されます。医療従事者は、患者の挙児希望を叶えること第一としながらも、患者に妊娠・出産に関する正確な知識を提供する必要があります。さらに、患者に不妊治療後の妊娠・出産の留意点を理解してもらいながら、治療を進めることが大切であることを認識しました。(門平 記)
 
2010.08
東京都における周産期医療対策(現状と今後の課題)
  講 師: 飯田真美課長(東京都福祉保健局医療政策部)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2010年8月23日(月曜日)17:30-18:30
    東京都では現在、周産期医療対策事業として周産期母子医療センター機能の充実や母体救命対応総合周産期母子医療センターの運営、周産期搬送コーディネーターの配置、NICUからの円滑な退院に向けた取り組みへの支援などに積極的に取り組んでいる。
特に母体救命については、対象患者を必ず受け入れ迅速に診断・処置を行うために、総合周産期センターと救命救急センターの緊密な連携がとれる体制を整備している。その一つがスーパー母体搬送とよばれるシステムであり、平成21年3月25日の開始から平成22年7月末までに67件の要請があった。
通常の母体搬送に関しても、従来は搬送元病院や総合周産期母子医療センターの医師が搬送先を探していたが、東京消防庁の指令室に周産期搬送コーディネーター(助産師・看護師)を配置することによって搬送先への調整をスムーズに行えるようになってきている。
限られた医療資源を効果的に活用し、安全・安心な分娩、育児ができる体制作りが必要であり、今後も各部署との連携を深めていくことが重要である。(飯田真美 記)
 
2010.07
新生児Nurse Practitionerの現状と日本における課題
  講 師: 小西美樹先生(聖母大学 看護学部)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2010年7月26日(月曜日)17:30-18:30
    ナースプラクティショナー(Nurse Practitioner:NP)とは医療従事者の1つで、専門的な教育を受け、自律的に検査や処方などの特定医行為に携わる看護師です。小西先生には欧米におけるNPという職種の歴史や役割、我が国におけるNP確立に向けた動きを中心にご紹介いただきました。また、NICUにおけるチーム医療、「多職種協働」というシステムについてもお話していただきました。医師不足に悩む我が国の周産期医療にとって、NPが重要な役割を担うものと期待されます。欧米との医療事情の相違をふまえ、我が国の医療システムに融合したNPが実現することが望まれます。(宮越 記)
 
2010.06
社会的側面から周産期医療について考える〜未受診,domestic violence,虐待の観点から
  講 師: 水主川純先生(国立国際医療センター 産婦人科)
  場 所: 臨床研究棟1階ラウンジ
  日 時: 2010年6月28日(月曜日)17:30-18:30
    水主川先生には、まずHIV合併妊婦・生活保護世帯・未受診妊婦を取り扱う国際医療研究センターの特徴をご紹介いただきました。次に、実際に医療センターで2007〜2009年に診療したDV被害妊婦14例の問題点と医療センターの取り組みをお話いただきました。DV被害妊婦6名は未入籍でした。経産婦11名の既出産児の養育状況をみると、自ら養育できているのは3名のみであり、虐待と考えられる乳児死亡例が2例発生しました。また、4名の母親が精神疾患を合併していました。DV被害の相談先として医療従事者は3.2%にすぎず、被害者が相談しやすい環境整備と医療従事者のDVに関する認識を高めることの必要性を強調されました。
同期間の未受診妊婦は33名でした。DV被害妊婦および未受診妊婦を妊娠前・妊娠中からの抽出するため、行政機関の女性相談センター・新宿区保健所・保健センターと検討会を開催しておられます。その結果、出産後に入院しているわずかな期間ではなく妊娠中から介入する体制を整備されました。自ら福祉事務所に支援を求めるよう妊婦の意識を高めることは、早期からの福祉事務所と医療機関の連携につながります。その結果、新宿区保健所と協力して、「大切なあなたのために」という情報アクセスを促すカードを作成し、今年度から新宿区の医療機関において配布が開始されました。 複雑な社会的背景をもつ妊婦に対しては、妊婦本人の自覚と行動を促すのみでは不十分です。今回の講演を通じて、安全な妊娠生活・児の適切な養育環境の確保を社会がフォローしていくシステム作りが重要であることをあらためて認識いたしました。(門平 記)
 
2010.05
先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(CCAML)に代表される嚢胞性肺疾患の周産期および乳児期臨床像について
  講 師: 小児科 肥沼先生
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 2010年5月24日(月曜日)17:30-18:30
    今回は先天性嚢胞性肺疾患の胎内所見を梅津先生に、疾患概念を肥沼先生に、そして手術所見を下島先生にお話していただきました。特に肥沼先生からは、出生後には、CT検査、気管支鏡および血管造影による検査を行っていること、当院では肺葉外肺分画症を除いて原則として1歳ごろに手術療法を行っていること、画像検査および病理組織検査結果を総合的に判断して最終診断を確定していること、自験例ではCCAMLと胎内で判断した症例のなかにBAと最終診断されたものが多いこと、などを説明していただきました。胎内診断例を出生後も引き続き経過観察していくことの重要性を再認識いたしました(宮越 記)
 
2010.04
胎児エコー上腎盂拡張を認めた症例の転帰
  講 師: 門平先生(産科)浅沼先生(泌尿器科)
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 2010年4月26日(月曜日)17:30-18:30
    最初に門平先生に最近経験した胎児期に腎盂拡張を認めた3症例の概要をお話していただきました。引き続いて浅沼先生には、腎盂拡張を来す疾患の概念、後部尿道弁、尿管瘤、水腎症、原発性膀胱尿管逆流症の治療法および予後を中心にご自身の臨床経験をふまえて説明していただきました。水腎症および原発性膀胱尿管逆流症の軽症例では自然治癒率も高いこと、腎機能のみならず膀胱機能も予後規定因子であること、腎盂拡張を来す疾患では同胞発症にも注意する必要があることなど、非常に興味深いお話をうかがうことができました。今後泌尿器疾患の胎内診断例に関しては適宜泌尿器科とも連携して周産期管理にあたっていきたいと考えております。(宮越)
 
2010.03
長期入院の児の管理と家族のケア(仮題)
  講 師: 葛西奈津子 川邉恵子 河野美紀 (小児科新生児病棟[7-5病棟])
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 2010年3月15日(月曜日)17:30-18:30
    新生児医療は進歩により、救命のケアから、発達を支えるケアへと変化してきました。新生児病棟では、未熟な状態で出生した赤ちゃんの成長・発達を支える「ディベロップメンタルケア」を含めた家族ケアに取り組んでいます。また、「低出生体重児と親における関係性の発達モデル」を使って新たな命と家族の関係性の発展を支援しています。今回は家族ケアについて2事例を通して紹介させていただきました。また家族ケアの1つとして亡くなっていく児の家族に対するグリーフケアで、同胞面会の事例を紹介させていただきました。同胞面会については、産科のスタッフからも多くのご意見をいただきました。家族ケアとして安全に取り組める方法を検討していきたいと思います。(7号棟5階新生児病棟 宮沢)
 
2010.02
大学病院における助産システム(仮題)
  講 師: 杏林大学付属病院 高崎由佳里師長、増永啓子師長
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 2010年2月22日(月曜日)17:30-18:30
    今回は初めての試みとして、杏林大学付属病院より2人の看護師長さんをお招きして大学病院における助産システムについてお話していただきました。杏林大学付属病院は総合周産期母子医療センターを併設し多摩地区の周産期医療基幹病院です。また、同病院は助産師外来、院内バースセンター、助産師搬送コーディネーター制度など「助産師と医師の連携」を重視した周産期医療制度の確立のパイオニアともいえる施設です。お二人には助産師外来および院内バースセンターの開設までの経緯、問題点の解決法を中心にお話していただき、医師と助産師が協力して年間約1200件の分娩に携わっておられる様子がよくわかりました。
 
2010.01
周産期臨床統計_2009年
  講 師: 産婦人科 梅津先生、小児科 三輪先生
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 2010年1月18日(月曜日)17:30-18:30
    2009年周産期統計
    梅津先生からは総分娩数、早産数、母体搬送数などについて、三輪先生からはNICU入院児の新生児予後を中心に詳細なお話がありました。2009年の総分娩数は598件となり、2005年以降毎年漸増傾向です。母体搬送については80件の依頼に対して30件の受け入れが可能でした。また、当院NICU における出生体重1000g未満の児の新生児予後は例年通り良好でした。他院と連携し動脈管開存症に対する周術期管理を目的とした新生児搬送の受け入れも行いました。本年4月からは、NICUは9床に、GCUは14床に増床されます。病床拡充にともない、2010年もさらなる飛躍を目指して周産期医療関係者一同がんばっていきたいと思います。(宮越)
 
2009.12
分娩期におけるカンガルーケアの取り組み
  講 師: 産科病棟 菊地師長、藤田助産師、早乙女助産師
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 12月21日(月曜日)17:30-18:30
    「カンガルーケア」とは赤ちゃんを母親の乳房と乳房の間に抱いて、裸の皮膚と皮膚を接触させながら保育する方法です。カンガルーケアは、NICUにおいて入院中の児との結びつきを促進するための方法として広く普及しております。最近では、このような‘skin to skin contact’は出産予定日近くに元気に生まれた赤ちゃんにとっても母子の絆を深めるために役に立つとされております。今回は、「産科病棟における分娩期におけるカンガルーケアの取り組み」について、菊地師長さん、藤田さん、早乙女さんにお話をしていただきました。また、その実施手順について小児科新生児班の先生方からもアドバイスをいただきました。出産直後のカンガルーケアを希望される妊婦さんは増えております。より良い出産のためにも、医師、看護師、助産師が協力して早期にカンガルーケアを実施できるように努力していきたいと考えております。(宮越)
 
2009.11
子宮頸部腫瘍に対する妊孕性温存手術と術後の妊娠予後について
  講 師: 産婦人科 藤井先生
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 11月16日(月曜日)17:30〜18:30
    藤井先生には、子宮頸部腫瘍および妊孕性温存手術について一般事項をお話していただきました。近年、20〜30代の子宮頸部腫瘍患者が増加傾向にあります。未婚もしくは挙児を希望される方も多いため、子宮体部を温存する手術を希望される方も増えております。妊孕性温存手術のうち、当科で施行している子宮頸部摘出術について、術式、海外での報告例および当院での実績について御紹介いただきました。また、子宮頸部が広範囲に切除されていることから、同手術後の妊娠分娩は早産のハイリスク妊娠であると考えられます。周産期管理に関する問題点について小児科新生児班医師からもコメントをいだきました。現在までの子宮頸部摘出術施行症例数を考えると、今後当院における妊娠分娩管理例が増加することが予想されます。少しでも早産を回避できるよう努力していきたいと考えております。(宮越)
 
2009.10
当院における先天性横隔膜ヘルニア胎内診断例の周産期管理について
  講 師: 産科、小児科、小児外科
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 10月26日(月曜日)17:30〜18:30
   

今回は、先天性横隔膜ヘルニア(CDH)の周産期管理に携わる産科、小児科、小児外科、放射線診断部、麻酔科、医用工学センターの皆さんにお集りいただきました。まず、下島先生(小児外科)にCDHの臨床像をお話していただき、宮越(産科)よりその胎内診断について概説しました。続いて、松崎先生(小児科)と柴田先生(小児科)に新生児遷延性肺高血圧症およびCDHにおける心臓超音波像について説明していただきました。最後に、最近の自験例(5例)の臨床経過を振り返りながら、肝の胸腔内脱出(liver-up)の評価や今年作成したCDH周産期管理プロトコールの問題点について話し合いました。この際、奥田先生(放射線診断部)および香取先生(麻酔科)に貴重な御意見をいただきました。今後当院のプロトコールをbrush upし、周産期医療チーム一丸となってCDH胎内診断例の予後改善に努めていきたいと思います。 (宮越)

 
2009.09
小児精神保健班の医者はどんなことをしているのか?・・・母子精神保健のきほんの『き』
  講 師: 小児科 藤山恵先生
  場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 9月28日(月曜日)17:00〜18:00
    藤山先生には、小児科精神保健班としてNICUにおける母子(乳幼児)精神保健への関わりについてお話していただきました。「ベッドサイドで母子に寄り添い、専門家として指導や評価をしない」という乳幼児観察の手法を用いて面接された症例について、担当前後の経過を紹介していただきました。藤山先生は、母子関係においてはあくまでも母親が主体であり、その母親の主体性を回復する支援として、積極的に働きかけるのではなく「ただ寄り添う面接」を心がけていらっしゃいます。また、診療の主体であるNICUスタッフと母親とのやりとりの記録から母子関係の見通しを立てることの重要性と難しさを感じておられるとのことでした。最近は新生児病棟の医師・看護師からだけでなく、出生前より産科医から面接を依頼した症例もあり、母子精神保健の重要性を再認識しました。(金善惠)
 
 
2009.07
当院における不妊症診療と最近の話題
  講 師: 産科 持丸先生、久慈先生
場 所: 臨床研究棟ラウンジ
  日 時: 7月27日(月曜日)17:30〜18:30
    まず、不妊症の治療、特に体外受精胚移植(IVF-ET)について基本事項をお話していただきました。続いて当院のIVF-ETの治療成績について、年齢や患者背景を含めて紹介していただきました。患者背景や移植胚数の制限を考慮すると当院の治療成績は良好であることがわかりました。当院でも移植胚数の制限(調整)により、IVF-ET後の双胎妊娠数は著減しております。最後に、最近の体外受精胚移植法の技術的進歩として、受精卵ガラス化凍結法、assisted hatching法、重症男性不妊症例に対する人工的卵子活性化について紹介していただきました。今後も不妊症診療グループと連携しながら周産期予後の向上をめざしていきたいと思います。(宮越)
 
2009.06
当院における先天性心疾患胎内診断例の臨床経過ならびに慢性肺疾患における肺高血圧症の臨床像
  講 師: 産科 宮越先生、小児科 柴田先生、潟山先生、松崎先生
  場 所: マルチメディアカンファレンスルーム(考養舎2階)
  日 時: 6月22日(月曜日)17:30〜18:30
    最初に、当院のハイリスク胎児外来の臨床統計を報告しました。引き続いて、小児科心臓班の柴田先生と潟山先生には2007-2009年5月までに当院で周産期管理をおこなった先天性心疾患胎内診断例(計27例)の臨床経過についてお話していただきました。また、松崎先生には超低出生体重児の慢性肺疾患に併発する肺高血圧症について概要を説明していただくとともに、当院の症例についてもお話していただきました。当院では、先天性心疾患の胎内診断例に対しては出産前にご家族に小児循環器専門医からお子さんの病気と治療の概要を説明させていただき、少しでも不安を解消し出産に臨んでいただくように努めております。今後も引き続き関連各科の専門医と連携しながら周産期管理にあたることの重要性を再認識いたしました。(宮越)
 
2009.05
未熟児網膜症
  講 師: 眼科 篠田肇先生
  場 所: 本館臨床講堂
  日 時: 5月25日(月曜日)17:30〜18:30
   

眼科の篠田先生には、早産児において長期に渡り機能予後が問題となる合併症の一つである未熟児網膜症(Retinopathy of prematurity: ROP)について当院での現状も含めてお話していただきました。ROPは、網膜血管の成長停止に伴う網膜周辺部における無血管帯の形成や同部位における異常血管新生と線維性増殖に起因する疾患であること、出生体重(1250g以下)や在胎週数(妊娠30週未満)はROPの重症度に寄与する因子であること、重症例では病変拡大を防ぐ目的で増殖血管周辺へのレーザー治療(網膜光凝固)が施行されることについて解説していただきました。また、網膜後極での血管拡張や蛇行を呈する”Plus disease”は重症度の高い兆候として警戒されており、増殖初期での積極的治療の重要性も指摘されております。その他、ROPの病態にVEGFやAngiopoietin2,Tie2などの成長因子が関与していること、特にROPモデルマウスを用いた検討によりVEGF165の異常血管新生への関与が示唆されることなど最近の基礎研究についてもお話していただきました。(峰岸)

 
2009.04
脳性麻痺
  講 師: 小児科 下郷幸子先生
  場 所: 東校舎講堂
  日 時: 4月27日(月曜日)17:30〜18:30
   

小児科神経班の下郷先生には、症例を提示しながら脳性麻痺の多彩な臨床像をお話していただきました。特に、発症に至る臨床背景により病変部位が異なること、臨床症状と病変部位の関連、画像所見からみた発生時期の推測、脳室周囲白質軟化症と大脳皮質下白質軟化症の発生機序などについてわかりやすく説明していただきました。また、リハビリ施設が限られていることなど小児科の先生方が直面していらっしゃる社会的サポートに関する問題点についてもお話をうかがい、「脳性麻痺」の概要を理解することができました。(宮越)

 
2009.03
肺成熟目的のステロイド投与後の母体血糖値管理について
  講 師: 内科(内分泌代謝) 香月健志先生
  場 所: 臨床講堂
  日 時: 3月23日(月曜日)17:30〜18:30
   

香月先生には、ステロイド投与後の母体血糖値の推移について、自験例を中心にお話していただきました。当院での検討によると、母体の血糖値はリンデロン投与約9時間後まで上昇傾向を、その後は次第に低下傾向を示すことがわかりました。この推移は諸家の報告と概ね一致しておりました。カンファレンスでは、この結果に基づいた当院におけるリンデロン投与後の管理プロトコール(案)についても話し合われました。また、香月先生には母体高血糖と新生児予後に関する大規模臨床研究(Hyperglycemia and adverse pregnancy outcomes. N Engl J Med 2008)とその関連報告についてもわかりやすく解説していただきました。内分泌代謝内科の先生にもお集りいただき、次年度からの円滑な診療に繋がる有意義なカンファレンスになりました。(宮越)

 
2009.02
症例検討:胎内診断された顔面横裂/下額低形成児の周産期管理と形成外科治療
  講師: 浅井先生(産婦人科)、松崎先生(小児科)、小崎先生(小児科)、緒方先生(形成外科)
  場所: 臨床講堂
  日時: 2月23日(月曜日)17:30〜18:30
    今回は、最近経験した顔面横裂/下額低形成児の症例検討会を行いました。最初に、浅井先生および松崎先生から症例の概要について報告していただきました。その後、形成外科の緒方先生には下額低形成を呈する疾患例ならびに下額仮骨延長術を中心とした形成外科治療についてお話していただきました。また、臨床遺伝専門医である小崎先生からは本疾患の発生機序ならび病態生理についてわかりやすく説明していただきました。最後に、出生直後に気道確保が困難であることが予想される児に対するex-utero intrapartum treatment (EXIT)についても小児外科の先生方と意見を交換し、今後当院でのEXITの実施についても協議していくこととなりました。各分野の興味深いお話をお聞きすることができ大変有意義なカンファレンスになりました。(宮越)
 
2009.01
周産期臨床統計2008
  講 師: 金 善惠先生 (産婦人科)/北東 功先生(小児科)
  場 所: 予防講堂
  日 時: 2009年1月26日(月曜日)17:30〜18:30
    金先生からは総分娩数、早産数、母体搬送数などについて、北東先生からはNICU入院児の新生児予後を中心に詳細なお話がありました。2008年の総分娩数は584件となり、2005年以降毎年漸増傾向です。また、当院NICU における出生体重1000g未満の児の新生児予後は例年通り良好でした。2009年もさらなる飛躍を目指して周産期医療関係者一同がんばっていきたいと思います。
 
    当日発表された「2008年周産期統計」も提示します(ダウンロード
 
2008.012
思春期女性の精神神経疾患
  講 師: 田渕 肇先生 (精神・神経科)
  場 所: 中央棟5階 カンファレンスルーム
  日 時: 12月15日(月曜日)17:30〜18:30
     近年、新しいタイプの「うつ」(現代型うつ)が増加しています。従来のいわゆる「古典型うつ」は勤勉で責任感の強い仕事熱心な中高年層に好発していました。しかしながら、「現代型うつ」の多くは、自分をとりまく環境、とくに人間関係に悩みを抱える若年者に発症しています。田渕 肇先生には、うつ病および抑うつ状態についてその概念を中心にわかりやく解説していただきました。また医師、看護師および助産師が一体となって精神疾患を有する患者さんをサポートすることの重要性を、ご自身の診療経験をもとにお話していただきました。
 
2008.11
着床前診断について
  講 師: 佐藤 卓先生 (産婦人科)
  場 所: 中央棟5階 カンファレンスルーム
  日 時: 11月17日(月曜日)17:30〜18:30
     従来より出生前診断は妊娠中期の羊水検査により行われ、妊娠継続を希望しないときには妊娠中期に中絶術が施行されておりました。しかしながら、妊娠中期中絶は肉体的および精神的に母体に負担がかかるため、より早期の出生前診断法として着床前遺伝子診断(preimplantation genetic diagnosis; PGD)が開発されました。世界で最初のPGD例が報告されて約18年が経過しました。本来遺伝病保因者を対象として開発された技術が次第に拡大され, 現在欧米では染色体異数性に起因する習慣流産に対するPGDや、生殖補助医療における妊娠率向上のためのスクリーニングとしてのPGD 、いわゆるpreimplantation genetic screening (PGS)が数の上では多くなってきています。
 カンファレンスでは、当院における単一遺伝子病を対象としたPGDの実施状況と、各種遺伝子変異に対応するための診断法についてのわかりやすくお話していただきました。またPGDの適応について触れ、その問題点についても説明していただきました。