研究

生殖・遺伝研究室

1.着床前遺伝子診断の開発研究とわが国の拠点形成

遺伝病の疾患遺伝子保因者に対して、わが国で初の着床前遺伝子診断(PGD)の倫理承認を得て開始し、最初の生児を得ています。以来技術的な開発を続けると共に様々な遺伝病に対して取り組んできました。実質共にわが国の実施拠点となっており、益々の発展を遂げています。
この方法は、先進的な生殖補助医療技術の全てを用い、さら急速に発展を遂げている最新の遺伝子解析技術を駆使し、全ゆる疾患にも対応しています。また、マイクロアレイなどを用いた網羅的遺伝子解析を行い、新たな染色体スクリーニングプロジェクトも取り組んでいます。

生殖・遺伝 末岡研究室
【慶應義塾大学における着床前遺伝子診断の取り扱い疾患】
X連鎖性疾患 Duchenne型筋ジストロフィー
副腎白質ジストロフィー
Menkes病
オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症
家族性色素失調症
耳口蓋指症候群
先天性ミオパチー
Pelizaeus-Merzbacher
球脊髄性筋萎縮症
常染色体優性遺伝疾患 筋強直性ジストロフィー
脊髄小脳変性症
骨形成不全症
常染色体劣性遺伝疾患 福山型筋ジストロフィー
先天性表皮水疱症
脊髄性筋萎縮症
ムコ多糖症 (II 型)
MTHFR欠損症
ピルビン酸脱水素酵素欠損症
家族性血球貪食症候群
5α還元酵素欠損症
成熟遅延骨異形成症
拘束性皮膚障害
ミトコンドリア遺伝病 Leigh脳症
染色体異常症 相互転座
ロバートソン転座
染色体逆位
同腕染色体モザイク

2.卵管鏡を始めとする低侵襲治療の開発と治療の実践

生殖・遺伝 末岡研究室 0.6mm径の微細な卵管鏡で細く蛇行する卵管全域の内側を観察すると共に卵管カテーテルを用いて卵管閉塞や狭窄した病変を拡げる治療法を開発し、臨床の場へ送り出しました。現在では、卵管不妊の新たな治療法として確立しました。この実績を基に継続的な治療開発のアプローチを行っています。


3.生殖細胞系列のゲノム医療の研究と実践

産婦人科領域において生殖を通じて発生しうる遺伝子情報の解析から、生殖能に関与する因子や新たな出生前遺伝子診断技術へのアプローチなど、遺伝子医療への積極的な研究を行っています。

① ミトコンドリア遺伝子研究

配偶子形成におけるミトコンドリア遺伝子の動態およびその影響因子について、胚およびiPS細胞の作製を通じて解明する研究を行っています。また、ミトコンドリア病に対するPGDを実施すると共に胚発生過程におけるミトコンドリア動態の解明を行っています。

② 出生前遺伝子診断研究

胎児の染色体遺伝子の診断を行う手法として羊水細胞,絨毛細胞から直接診断を多様な病態を対象に実施しています。また、母体血漿中の胎児由来遺伝子断片からSNPを解析する新たな非侵襲性出生前診断の研究実施とデータ集積を行っています。

③ 生殖能に関わる遺伝子解析研究

男性不妊の原因を解明するために網羅的遺伝子解析の手法を用いて解析しています。




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