ニューストピック[2011]

2011(平成23)年

2011.10.10
第19回日本胎盤学会学術集会で小林佑介君(82期)が、相馬賞を受賞しました。

第19回日本胎盤学会学術集会で小林佑介君(82期)が、相馬賞を受賞しました。 平成23年9月30日、10月1日の両日にわたって、東京ステーションコンファレンスにおいて、第19回日本胎盤学会学術集会(第29回日本絨毛性疾患研究会と合同開催)が開催された。同学会では周産期から絨毛性疾患までの胎盤や絨毛に関わる臨床及び基礎研究内容が発表され、その内容は診断、治療に広く利用されている。今学会で、多数の演題の中から最も優れた発表として教室の小林佑介君(82期)の発表演題「新規絨毛癌モデルを用いた絨毛癌研究〜基礎から臨床へ〜」が相馬賞として表彰された。
これは、同君が大学院博士課程の時より研究を続け、American Journal of Pathology本年9月号に掲載された論文の内容をまとめたものであり、ヒト不死化絨毛外栄養膜細胞HTR8/SVneo細胞にHRASV12遺伝子を導入することで異種移植での腫瘍形成能を獲得し、絨毛癌に特徴的な病理像や臨床像を模倣するような絨毛癌モデルiC³-1 (induced choriocarcinoma cell-1)の樹立に成功している。さらに、その樹立した細胞を用いて行ったマイクロアレイ解析やshort hairpin RNAによる遺伝子発現抑制、異種移植などの実験結果より、絨毛癌の浸潤にmatrix metalloproteinasesが関与している可能性や、転移機構に上皮間葉転換が関わっていること、さらにはSOX3遺伝子が絨毛癌の増殖に関与することを報告している。同君は既に8月に開催された第63回日本産科婦人科学会学術講演会において上記の研究成果を発表し、婦人科腫瘍学部門の最優秀演題賞を受賞している。
今回は上述の内容に加えて、iC³-1は連続異種移植が可能であること、形成された腫瘍がsyncytiotrophoblastとcytotrophoblastによるtwo cell patternを示す実験結果から、また、親株細胞であるHTR8/SVneoに絨毛幹細胞が含まれている可能性が最近報告されていることも背景に、iC³-1に絨毛癌幹細胞が含有されている可能性に言及し、今後の絨毛癌幹細胞の分離、同定を見据えた研究内容が高く評価され、日本産科婦人科学会での受賞に続く連続受賞という快挙につながった。今後の同君のさらなる快進撃を楽しみにしたい。

 

2011.9.23
第63回日本産科婦人科学会学術講演会において山田満稔君(81期)が生殖医学部門の優秀論文賞を、西山(辻)紘子君(81期)が周産期医学部門の優秀演題賞を受賞しました。

第63回日本産科婦人科学会学術講演会において山田満稔君(81期)が生殖医学部門の優秀論文賞を、西山(辻)紘子君(81期)が周産期医学部門の優秀演題賞を受賞しました。 平成23年8月29日から31日までの3日間、大阪国際会議場において第63回日本産科婦人科学会学術講演会が開催された。
昨年より設置された優秀論文賞は、周産期医学、生殖医学、腫瘍医学、女性医学の4部門において、年間で国内外の科学雑誌に掲載された論文のうち、厳正な審査を経て最も優秀と判断された論文の発表者に授与される賞である。この優秀論文賞のうち、生殖医学部門で、当教室の山田満稔君(81期)の論文、 Involvement of a novel preimplantation-specific gene encoding the high mobility group box protein Hmgpi in early embryonic development (Human Molecular Genetics, 2010) が選出され受賞となった(写真上)。同君は本論文中で着床前期特異的に発現すると予想される新規遺伝子Hmgpiを抽出し, Hmgpiが初期胚発生において重要な役割を果たしていることを明らかにし報告した。本研究は初期胚発生の分子メカニズムの解明に寄与し、さらには不妊症の病因メカニズムを分子レベルで解明することで生殖補助医療の発展に貢献する有意義な研究であると考えられ、その成果が評価された。
また、数多くの研究発表の中から、周産期医学部門において最も優れた発表として西山(辻)紘子君(81期)の演題が優秀演題賞として表彰された(写真下)。発表課題は『ヒト羊膜の免疫寛容能−間葉系幹細胞の心筋再生医療への応用−』で、同君が慶應義塾大学大学院博士課程で行った、循環器内科との学内共同研究である。心筋再生医療に用いられている間葉系幹細胞は従来、骨髄由来のものが主なものであるが、免疫拒絶、心筋分化誘導効率の低さ、患者の基礎疾患等の問題があげられている。今回の発表では、ヒト羊膜由来間葉系幹細胞の心筋再生細胞医療での有用性を検討した。まず、ヒト羊膜より羊膜由来間葉系幹細胞を樹立し、in vitroにて生理学的に有用な心筋細胞への分化を示した。さらにin vivoでは心筋梗塞モデルヌードラットに移植した後、心筋細胞への分化を認め、心機能を改善させることを示した。さらに免疫学的に正常な心筋梗塞モデルWistar ratに免疫抑制剤を用いずに移植したところ、最大80日後までの生着生存、心筋分化を認めた。これらの所見は羊膜由来間葉系幹細胞が心筋分化能だけでなく、免疫寛容能も持ち合わせていることを示しており、他家移植可能な細胞源として今後心筋再生細胞医療における有用性が期待され、今回の受賞に至った。

 

2011.9.23
第63回日本産科婦人科学会学術講演会において小林佑介君(82期)が、婦人科腫瘍学部門の最優秀演題賞を受賞しました。

第63回日本産科婦人科学会学術講演会において小林佑介君(82期)が、婦人科腫瘍学部門の最優秀演題賞を受賞しました。大阪国際会議場において8月29日から31日の3日間にわたり、第63回日本産科婦人科学会学術講演会が、開催された。本年度は震災の影響により、当初予定されていた4月から大幅に予定を変更しての開催となったが、例年に勝るとも劣らない参加者数と発表演題が集まり大盛況となった。 今学会で、教室の小林佑介君(82期)が婦人科腫瘍学部門の優秀演題賞として表彰された。発表演題は「ヒト不死化正常絨毛細胞を用いた絨毛癌動物モデルの樹立〜絨毛癌発癌および転移機構の解明を目指して〜」で、同君が大学院博士課程の時より研究を続け、American journal of Pathology本年9月号に掲載された論文の内容に沿ったものである。
絨毛癌は発生頻度が低く、かつ初回治療として手術ではなく化学療法が行われる、などの理由で臨床検体を得る機会は極めて少ない。また臨床像に一致した動物モデルが確立されておらず、これまで絨毛癌の発癌および転移機構の研究は困難であった。同君はヒト不死化絨毛外栄養膜細胞HTR8/SVneo細胞にHRASV12遺伝子を導入することで異種移植での腫瘍形成能を獲得し、絨毛癌に特徴的な病理像や臨床像を模倣するような絨毛癌モデルiC3-1 (induced choriocarcinoma cell-1)を樹立した。さらに、その樹立した細胞を用いてマイクロアレイ解析ならびにshort hairpin RNAによる遺伝子発現抑制、異種移植などの研究を進め、絨毛癌の浸潤にmatrix metalloproteinasesが関与している可能性や、転移機構に上皮間葉転換が関わること、さらにSOX3遺伝子が絨毛癌の増殖に関与することを報告した。
稀少疾患である絨毛癌の実験モデルを樹立し、そのモデルを用いて絨毛癌の増殖・浸潤・転移メカニズムの一端を明らかとしたことは、絨毛癌の研究と新たな治療につながる道筋を開く大きな業績であり、今回の名誉ある受賞へとつながった。
今後の彼の活躍を心から期待したい。(岩田)

 

2011.9.20
阪埜浩司君(71回)が2年連続で平成22年度Best Teacher Awardに選ばれました。

阪埜浩司君(71回) 昨年に引き続き、今回、阪埜浩司君が第5学年の選ぶBest Teacher Awardの第3位となりました。Best Teacher Awardとは、医学部1年生から6年生の学生が学年ごとに教員を評価する制度で、毎年各学年3人ずつ計18人が選ばれます。
阪埜君は第5学年が病院実習を行う際の婦人科ポリクリ担当として長年教育を行ってきましたが、彼の熱血ある指導は、学生の間でも産婦人科の名物クルズスとなっています。決して甘くない指導スタイルであるものの、彼の学生に対する熱意や情熱が評価され、今回の二年連続の受賞につながったと思われます。
今後も、産婦人科臨床実習を通じて、多くの学生に産婦人科の魅力を伝える彼の活躍を期待します。

 

2011.6.19
増田健太君(84期)が日本家族性腫瘍学会学術集会若手奨励賞を受賞

増田健太君(84期)が日本家族性腫瘍学会学術集会若手奨励賞を受賞 平成23年6月17日〜19日に京都大学において第17回日本家族性腫瘍学会学術集会(遺伝医学合同学術集会2011)が開催され、当教室の増田健太君(84期)が日本家族性腫瘍学会学術集会若手奨励賞を受賞した。

日本家族性腫瘍学会とは、家系内に癌や腫瘍が多く発生する疾患について、その診断治療、遺伝子診断、倫理、患者支援など広い分野において取り扱う学会であり、産婦人科医のみならず内科医、外科医、小児科医、遺伝カウンセラーなど幅広い分野の人々が集まって研究が行われている。

今回、増田健太君が発表した「Lower uterine segment(LUS)から発生する子宮体癌とLynch症候群との関連」は、子宮体癌のなかで子宮体部下部(=Lower uterine segment: LUS)から発生するものは、大腸癌, 子宮体癌などを高率に発症する遺伝性疾患である“Lynch症候群”である頻度が高いことを報告したものである。

Lynch症候群は子宮体癌のうち1.38%の頻度で存在すると言われているが、その家系を見つけ出すことは日常診療上非常に難しく、家族歴聴取のほかに、これまでは若年の癌や重複癌などがあった場合にLynch症候群を疑う手がかりとしていた。同君の発表したLower uterine segment(LUS)とLynch症候群との関係は、今後日常診療の上でLynch症候群を疑うもう一つの手がかりとなり得るものである。Lynch症候群の家系を発見することは、その患者や家族に対して適切なサーベイランスを行う事で、早期に癌を発見し早期に治療が可能となる点で非常に重要である。同君の報告は、Lower uterine segment(LUS)から発生する子宮体癌に対して詳細な調査を行い、本邦では初めてLynch症候群との関係性を示したことが高く評価され受賞に至った。

家族性腫瘍は頻度が少ないため、医療従事者の間でも知られていないことが多い分野であるが、発癌のメカニズムの解明や癌予防の面からも非常に重要な分野である。同君が今後も研究を続け、活躍されることを期待したい。