研修

アドバンスト・プログラム

アドバンスト・プログラムは現在公募を中止しております

はじめに

慶應義塾大学の産婦人科 アドバンスト・プログラムは、一般に subspeciality とよばれる腫瘍、生殖・周産期、内視鏡手術、などの専門医取得を目指す、産婦人科専門医をすでに取得している医師のための研修プログラムです。各プログラムとも3~5年で各専門医を取得することを目標としています。

産婦人科医師が自分の専門分野を決め、ある程度一人前になるにはおよそ10年かかると我々は考えています。現在の臨床研修制度では、スーパーローテートの2年、後期臨床研修の4年、そしてアドバンスト・プログラムが最後の4年に相当します。約10年を経て、しっかりとした基礎が出来上がったあと、この大事な時期の研修をどのようにおこなうか、真剣に考えている医師諸君にこの アドバンスト・プログラムの概要をぜひ読んでいただいて、将来の自分の研修を考えてみてもらいたいと思います。


(1)本学の目指す産婦人科医育成とアドバンスト・プログラム

生命を取扱う以上、医療に安全性が求められるのは言うまでもありません。ヒューマンエラーの根絶という難しい問題に医療現場は挑戦し続けています。簡素化や統一性を図ることで種々のオーダーの伝達中に発生しやすいエラーをなくすために、クリティカルパスが作成され実践されているのもその一例と言えるでしょう。

一方で人体の複雑さ、生命の巧緻は、簡素化、統一性の対極にあります。同じ病名であっても患者さんによって病態は患者さんの数だけ種類があることは、本来誰もが知っていることです。マニュアルを基盤にしながらも、そこに込められている理論・科学的検証を十分に理解することを後期臨床研修 (Keio Basic Program) で徹底しながら指導しています。
そして、その基盤に立って個々の患者さんの身体で起こっている事象をとらえて、テーラーメードに理論的応用を積み上げられる医師の育成を目指しています。
すなわち「基礎力・観察力・洞察力そして応用力を身につけた医師の育成」が、本学の産婦人科医育成の理念です。

その育成理念の到達のために本学がトレーニングツールとして重要視してきたことが2つあります。ひとつは「理論的に考える頭」を鍛えて磨くために最適な「研究」です。臨床研究、基礎研究いずれも個々人の興味とモチベーションにあわせて高い自由度の中で実践してもらってきました。そして研究も含まれますが、産婦人科の中でも特に興味をもつ専門分野をさらに磨いて究めていくトレーニングを応援してきました。

この2つの「研究」と「専門分野の探求」というトレーニングツールは、一体であって分けられるものでもありませんが、トレーニングツールというだけではなく、産婦人科医師としての生涯にとってもかけがえのないものをもたらしてくれるものと信じています。昨今注目されている専門医制度、指導医制度といったものも、本学の「研究」と「専門分野の探求」の見方を変えたものと言えるでしょう。

臨床研修制度が変わっても、長い伝統の中、守り通して来た本学の育成理念が変わることはありません。そこで、新しい臨床研修制度に対応させて、後期臨床研修を終えて基盤を習得した若い医師に、次のステップのプログラムとして、アドバンスト・プログラムを設けました。


(2)産婦人科専門領域の専門医/指導医制度

昨今の医療現場は、日進月歩の医学進展、医療技術開発に伴って、それぞれの科内においても、専門化が進み、専門領域の細分化が行われています。この現状は産婦人科においても、ひとりの医師がすべての産婦人科専門領域を極めるということは難しくなっていることを示しており、むしろ各々の専門領域を深めることこそが、その領域の進展に貢献できるのかも知れないということを表しています。グローバルに学ぶことを求められる初期臨床研修とは全く異なり、エキスパートの育成へと視点が変わって行きます。
その現況に対応するために、昨今各科ともに各種専門学会によって、様々な認定医制度が発足しています。しかし、専門領域においても最低限の方向性や、基礎というものが存在します。その専門における基礎のひとつの物差しが専門医認定医制度です。したがって、技術の認定ではなく、その専門領域のエキスパートを認定するという理念をこめて、その受験資格にスキル指標の症例数制限に加えて、学会発表や論文発表業績など医学としての専門を求めています。


(3)アドバンスト・プログラムのアドバンテージ

生殖・周産期・腫瘍・内視鏡の各分野に専門医や指導医が在籍しており、各専門学会の研修施設としての認定を受けています。
  • 後期臨床研修(Keio Basic Program)在籍時に、全ての専門領域に触れることができるので、研修中に特に意識することなく、広い専門領域の中から自然に自分の興味対象を熟成していくことが可能です。
  • 全ての専門領域は言うまでもなく産婦人科の一部門であって独立しているわけではありません。したがって複数にまたがる、あるいはその接点にも、簡単には割り切れない興味深い領域は存在します。本学では、全部門があるからこそ見えて来る、それらの守備範囲を求めていくことが可能です。
  • ひとつの専門領域を極めて行くことすら簡単なことではありませんが、選択しなかった専門領域を学ぶ産婦人科医師が、本学の同期あるいは近い学年に在籍することは、今後の相談相手としては、必ず大きな財産になります。
各専門領域に研究室が存在します/大学院を併設しています。
  • 多くの専門医/指導医制度の受験資格が、臨床経験症例数を要求する他に、専門領域での学会発表や論文発表を規定数以上保持していることを設定しています。
  • アカデミックな研修制度として各研究室や大学院で本格的な研究指導を行っていることは、本来専門医/指導医取得を目指すものではなく、本学の精神である physician scientist の育成が目的ですが、資格試験受験には絶対的なアドバンテージとなっています。
トレーニングに関する長年のノウハウが蓄積しています。
  • 本学在籍の誰もがはじめからエキスパートになっていたわけではなく、伝統的なトレーニングの恩恵を受けて来た者です。エキスパートを目指す者に要求されるのは、才能ではなくモチベーションです。そのモチベーションを結実させるノウハウは短期間で医療機関に作り上げられるものではありません。


(4)選考試験

定員 各プログラムとも若干名
選考試験 小論文 および 面接
受験申し込み要領 詳細は、教室秘書 (a-kaori@keio.jp) までお問い合わせ下さい。
応募締め切り10月末日、先行期間11月
所定履歴書
(ダウンロード)
内視鏡手術プログラム用履歴書
生殖医学プログラム用履歴書
周産期医学プログラム用履歴書
婦人科腫瘍学プログラム用履歴書






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