慶應義塾大学医学部産婦人科学教室は平成30年に創立100周年を迎え、新たな世紀に入ったところです。産婦人科学教室同窓会は現在の教室員と、教室に所属していた、いわゆるOBとで構成され、令和3年4月時点の会員数は667名となります。本同窓会は、会員相互の親睦ならびに連絡を図るとともに、会員の人格・学識の向上、そして産婦人科学教室さらには慶應医学の発展に寄与することを目的とします。
福沢諭吉先生の言葉に半学半教という言葉があります。教える者と学ぶ者との師弟の分を定めず、先に学んだ者が後で学ぼうとする者を教える。教員と学生、言い換えれば、先輩と後輩も半分は教えて、半分は学び続ける存在という、慶應義塾草創期からの精神です。慶應義塾の伝統である先輩と後輩との強固な絆と、皆で学び合い、皆で支え合うという半学半教の精神が本同窓会の基盤になっています。
産婦人科学教室と同窓会は車の両輪です。同窓会は教室と連携して様々な活動を積極的に行っています。特に、学術援助基金を通じて、同窓会員の学術活動に対して幅広い支援を提供しています。なかでも、1年間のうちに会員が発表した英文論文のうち1編を表彰する「最高インパクトファクター賞」と、名誉教授 故安藤畫一先生の功績を偲び、様々な分野で尽力された同窓会員を顕彰する「安藤記念賞」は同窓会が行う代表的な顕彰制度です。
会員は、研修医から退職後の方まで、そして、北海道から沖縄さらに国外まで各地で活躍しています。活躍の場は、産婦人科学教室、教室の関連病院、他大学産婦人科、研究機関、開業医として地域医療に従事するなど多彩です。さらに臨床業務の傍ら、産婦人科学会、産婦人科医会、医師会などの組織において活躍しています。
同窓会は、100周年を迎えた教室と共に、先輩の築いた歴史を礎にして、福澤先生の自我作古―「我より古を作す(われよりいにしえをなす)」と訓み、前人未踏の新しい分野に挑戦し、困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓にあたると言う、勇気と使命感を表した言葉―の精神で新たな産婦人科学の未来を作り出していきたいと考えています。
令和3年4月
慶應義塾大学医学部 産婦人科学教室
同窓会 会長
宮﨑 豊彦