子宮頸部レーザー蒸散術の詳細はこちらをご参照ください。
この手術の目的は病変部を含めて子宮頸部を円錐状に切除することにより、診断を確定することと同時に、どの程度の治療が必要であるのかを明らかにすることにあります。子宮頸部レーザー円錐切除術後の病理検査の結果、病変の取り残しがなければ追加の治療は通常は不要です。ただし、術後も外来で経過をみる必要はあります。手術検体の病理診断によっては追加治療が必要となることもあります。
子宮頸部をレーザーメスもしくは超音波メスにより円錐状に切除します。レーザーメスや超音波メスは普通のメスを使用するより、出血が少ないという特長があります。頸部を円錐状に切除したのち、出血と病巣の取り残しを防ぐという意味で切開部分に熱変性を加えます。手術時間は約30分ですが、麻酔をかけ始めてから麻酔が覚めるまでの時間を考慮にいれると手術室の滞在時間としては2時間程度です。
原則として、手術前日の午前に入院していただきます。入院していただくと、病棟看護師による入院一般のオリエンテーションが行われます。さらに麻酔科医師の回診を受けていただきます。ただし、婦人科医が麻酔も担当する場合があり、その場合は麻酔科医師の回診はありません。婦人科担当医師からは時間を決めて手術の説明があります。この手術の説明に際しては、ご本人はもちろんのこと、ご家族の方も同席していただいております。また、手術に関する同意書をはじめとする書類に署名をご本人にお願いしています。手術当日はご家族に来院していただき、手術中は病院内に待機していただきます。手術終了後、担当医師よりご家族に手術経過の説明を行います。手術翌日は安静のため入院していただき、問題なければ術後翌日の午前中に退院となります。したがって入院期間は原則2泊3日ですが、手術前日が祝祭日の場合には入院期間が長くなる場合があります。
浸潤子宮頸がんの治療法は一般に広汎子宮全摘出術または放射線療法が行われますが、これらの治療により妊娠が不可能となる欠点があります。私たちは、特に妊孕性温存希望の強い子宮頸がんの患者さんに対して、子宮頸部のみを切除し子宮体部を温存する術式である広汎性子宮頸部摘出術を行っています。しかしながら、本来行われるべき手術(広汎子宮全摘出術)に比べて縮小手術となるため、海外の報告や我々の過去の検討をもとに適応を厳密に定めています。
子宮頸部を摘出した時点で、この手術ではがんが取りきれないことや転移があることが明らかになった場合は、がんの治療を確実にするために残った子宮を摘出することで標準的な根治手術と同様の摘出に切り替えます。さらに最終的な病理組織検査(手術で摘出した組織を顕微鏡で調べます)の結果、追加治療が必要と判断された場合は治療(手術、化学療法もしくは放射線治療)を追加し、がんの治療を確実にすることがあります。その場合は、治療の内容によっては妊娠する機能は失われる可能性があります。
術後合併症として標準手術と同様に、リンパ節の摘出による浮腫(むくみ)や、排尿障害の可能性があり、必要に応じて治療を行います。退院後は定期的に、再発の有無を含め外来でフォローアップしていきます。手術後に妊娠するためには不妊治療が必要になる場合が多く、また、妊娠した場合は早産など周産期のリスクが高くなる可能性があります。
実際に本手術ができるかどうかは、詳しく拝見しないと判らないこともあります。お悩みの際はご相談ください。