婦人科

子宮頸がん・子宮体がん・外陰がんを対象としたセンチネルリンパ節手術の実施について

当院では、2024年4月より「子宮頸がん・子宮体がん・外陰がんを対象としたセンチネルリンパ節手術」を開始いたしました。

婦人科がん領域の手術では、リンパ節の摘出を行うことが多く、時に下肢のリンパ浮腫などの合併症を認めます。最近では治療成績の向上に伴い、がんサバイバーと呼ばれる長期生存者も増え、治療後の生活の質(Quality of Life:QOL)も重視されています。いかに不要な手術を省略できるかという観点から、センチネルリンパ節・センチネルリンパ節ナビゲーション手術という概念が提唱され、センチネルリンパ節と呼ばれるリンパ節に転移がない場合には、系統的なリンパ節摘出を省略する考え方が広まっています。

しかしながら婦人科がん領域ではこれまで、トレーサーと呼ばれる、手術に必要な薬剤が保険承認されていないという問題から、研究レベルでのみ行われてきたのが現状です。当院では臨床試験として2009年3月より、当院倫理委員会に臨床研究として申請し承認を受け、約100名の患者さんにご協力いただき、子宮体癌でのセンチネルリンパ節手術を行った豊富な経験を有しています。

このたび、2023年3月に放射性同位元素(Radioisotope:RI)のトレーサーとして、フィチン酸テクネチウムが子宮体がん、子宮頸がん、外陰がんでも保険収載されました。それを踏まえ当院でもRI法と呼ばれる手法で今回、「子宮頸がん・子宮体がん・外陰がんを対象としたセンチネルリンパ節手術」を開始いたしました。センチネルリンパ節手術により、これまで以上に患者さんの下肢のリンパ浮腫をはじめとする有害事象を予防することができるようになり、より低侵襲な負担の少ない手術が行えると考えております。

早期子宮頸がん、子宮体がん、外陰がんの方が対象となりますが、実際には詳しく拝見しないと判らないこともあります。お悩みの際は遠慮なくぜひご相談ください。

RI法の実際については以下もご参照ください。
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/presentation/202308.html


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