疾患の発症には遺伝要因と環境要因が関わっており、多くは両者が複雑に関与する多因子疾患です。例えば、高血圧や糖尿病は多因子疾患の代表例であり、これまで我が国においても日本人における遺伝要因の解明が試みられてきました。一方、早産、妊娠高血圧症候群および妊娠糖尿病などの周産期異常も多因子疾患と推測されますが、日本人妊婦における遺伝要因に関する知見が少ないのが現状です。そこで現在、多施設共同で周産期異常のゲノム疫学、特に一塩基多型に関する研究を行っております。
当院で管理を行った合併症妊娠例について臨床データを解析しております。また、広汎性子宮頸部摘出術後妊娠の周産期予後など単一施設のみでは十分な症例数を得られない場合には、他施設とも協力して臨床データの集積・解析を行い、適切な周産期管理法の構築を目指しております。
ヒト羊水幹細胞が先天性疾患や早産児合併症の治療に有用なのではないかと考え、基礎的な検討を行っています。
超音波を用いて胎児発育や身体組成(脂肪量や筋肉量)の評価を行い、様々な母体バイオマーカーとの関連を検討することで、子宮内環境が胎児発育や身体組成に与える影響を検討しております。