学会受賞

2016(平成28)年

2016.11.28

牧田和也君(66期)が第15回更年期と加齢のヘルスケア学会にて学会賞を受賞

牧田和也君(66期)が第15回更年期と加齢のヘルスケア学会にて学会賞を受賞  平成28年10月22日と23日の両日、帝京平成大学中野キャンパスにて開催された第15回更年期と加齢のヘルスケア学会学術集会において、非常勤講師の牧田和也君(66期)が本年度の学会賞を受賞した。当学会は、日本女性医学学会(旧日本更年期医学会)より後に、当学会理事長である小山嵩夫先生が設立した学会で、医療関係者のみならず様々な職種の方がそれぞれの立場で「更年期」や「加齢」をキーワードに更年期並びにその周辺女性の健康増進や疾病予防のために活動を行っている学会である。牧田君は、永年に亘り「更年期」の分野での診療・臨床研究に従事し、旧日本更年期医学会の前身である更年期医学研究会の時代から今日の日本女性医学学会に至るまで、四半世紀に亘り学会活動を継続している。更年期と加齢のヘルスケア学会では、2012年度より幹事としてその活動を開始し、その活動歴はまだ5年目ではあるが、牧田君のこれまでの更年期分野における優れた臨床研究と日本女性医学学会での活動も含めたこの分野への多大な貢献が評価された。
 牧田君は自身の医院での診療の傍ら、婦人科外来に開設されている「女性健康維持外来」での診療も継続している。今後も同君の活動に期待したい。

2016.10.24

阪埜浩司君(71期)が慶應医学部教員総選挙にてBest teacher第1位に選出

 阪埜浩司君(71期)が、慶應義塾医学部新聞が行った95回生に聞く慶應医学部教員総選挙にて、6年間でのBest teacher第1位に選出された。
 慶應医学部教員総選挙は毎年、医学部6年生を対称にアンケート形式で行われている。今回は今春卒業した95回生を対称に行われた。同君は「6年間でのBest teacherはどの先生だと思いますか」の設問で、最大得票数で見事1位を獲得した。学生からは「医師になる上での“基本”を教えていただいた」といったコメントも多く寄せられ、臨床実習において、学生一人一人と真剣に向き合う、同君の熱い指導が人気を得ている。また、同君は「一緒に飲みに行きたいのはどの先生ですか」の設問でも昨年と同様2位であり、公私共に人気を博している医師と評価されていることが伺える。
 6年生を対象に実施される慶應義塾医学部新聞の医学部教員総選挙では外科系の医師が選出されることは希有であり、同君の教育にかける熱意のたまものであろう。今後も同君の熱い教育に期待したい。
慶應医学部新聞ホームページ:http://www.sanshikai.jp/newspaper/

2016.10.19

世界体外受精会議記念賞を山田満稔君(81期)、三木史恵君(87期)が同時受賞

 平成28年9月15日、16日の両日にわたり軽井沢で開催された第34回日本受精着床学会学術講演会において、当教室の山田満稔君(81期)と、三木史恵(87期)が世界体外受精会議記念賞を同時に受賞した。

世界体外受精会議記念賞を山田満稔君(81期)、三木史恵君(87期)が同時受賞

 山田君は「ヒト卵子は1型糖尿病の体細胞核をリプログラムして2倍体の多能性幹細胞を樹立する」と題して、従来技術的に困難を極めていたヒト卵における核置換技術を深化させ、疾患をもつ成人の体細胞から胚性幹細胞の作出に成功したという、生殖医学における革新的発展の成果を発表した。患者由来胚性幹細胞はインスリン産生能を有するβ細胞に分化した。本成果はすでにNature誌に掲載され高いインパクトを与えており、本学会において発展的内容として発表したものに、世界体外受精会議記念賞が授与された。文章にすると簡潔に表現されてしまう技術革新であるが、核移植後の培養方法にも随所に工夫がなされることで初めて確立した手法であり、山田君の独創性と粘りが産み出した技術である。今後対象疾患の広がりはもとより、生殖医療以外に幹細胞医療への発展として大いに期待される基盤的技術であり、今後も本学発進の新たな技術開発および理論構築へ大きな期待が寄せられる。
 先天的あるいは後天的にがん治療などで子宮の一部を欠損し、妊孕性を損なうものを子宮性不妊という。妊娠したとしても解剖学的欠損により妊娠の維持が困難で流早産につながってしまうことが少なくない。欠損部の再構築を目指している三木君は「脱細胞化技術による子宮再生医療の基礎的検討 -再生子宮の構造と妊孕能を規定する因子の探索- 」と題して、欠損部子宮を免疫源性のない(すなわち移植後免疫抑制剤の投与が不要な)生体マテリアルを用いた子宮再構築研究の成果を発表した。マウスを用いたマテリアル移植後の子宮再構築過程において、マテリアルの移植方向によって再構築された組織に位相差が生じうるという興味深い結果で、今後の子宮再生医療の技術基盤となりうる成果であると同時に、子宮にとどまらずあらゆる組織における構造再生の機序解明の一端ともなりえる成果であり幅広い発展応用が期待される内容であった。その点も含めた高い評価が得られての受賞であった。
 両君の成果はどちらも基礎的研究であるものの、遠からず臨床応用が可能な現実的な研究デザインとなっており、今後の両君の続報が大いに期待されるものである。
(73期 内田 浩 記)

2016.07.04

春日義史君(86期)が第89回日本超音波医学会学術集会にて奨励賞を受賞

春日義史君(86期)が第89回日本超音波医学会学術集会にて奨励賞を受賞  第89回日本超音波医学会学術集会(5月27~29日、京都)において、春日義史君(第86期)が「腹式広汎性子宮頸部摘出術後妊娠における残存子宮頸管長と周産期予後に関する検討」を発表し、奨励賞を受賞した。今回、春日君は残存子宮頸管長が早産期前期破水発症の予測因子であることを見出し、妊娠中期における残存子宮頸管長に留意した周産期管理の重要性を示した。また、春日君は西尾浩君(82期)とともに子宮頸部初期浸潤癌に対する同手術症例を対象に生殖・妊娠予後の詳細解析を行い、妊娠様式の主体が生殖補助医療であること、妊娠34週未満の早産率は約40%であり感染・異常性器出血に留意する必要があることを既に明らかにした(Int J Gynecol Cancer, 2015)。本邦でいち早く同手術を実施し症例集積を行っている当教室から、今後も世界に向けた術後妊娠管理に関する情報発信に努めていきたい。
(71期 宮越敬 記)

2016.05.09

小林佑介君(82期)が第68回日本産科婦人科学会学術講演会で優秀論文賞、International Session Encouragement Award、International Session Awardを受賞

小林佑介君(82期)が第68回日本産科婦人科学会学術講演会で優秀論文賞、International Session Encouragement Award、International Session Awardを受賞  平成28年4月21日から24日の4日間にわたり、東京国際フォーラムで開催された第68回日本産科婦人科学会学術講演会において、教室の小林佑介君(82期)が3つの賞を受賞する快挙を達成した。
 まず、4月21日の臨時総会において、Clinical Cancer Research誌に昨年度掲載された同君の論文 “Mevalonate pathway antagonist inhibits proliferation of serous tubal intraepithelial carcinoma and ovarian carcinoma in mouse models.” に対し優秀論文賞(婦人科腫瘍学部門)が授与された。優秀論文賞は、周産期医学、生殖医学、婦人科腫瘍学、女性医学の4部門において、年間で国内外の科学雑誌に掲載された論文のうち、厳正な審査を経て最も優秀と判断された論文の発表者に授与される賞である。同君の論文では脂質異常症の治療薬として使用されているスタチン製剤が卵巣癌の発生や進行を抑制する効果があることを動物実験で明らかとしていた。また、その効果はアポトーシスやオートファジーといったプログラム細胞死が関与しており、スタチンが抑制するメバロン酸合成経路の下流から枝分かれする部位が作用経路であることも報告されていた。

小林佑介君(82期)が第68回日本産科婦人科学会学術講演会で優秀論文賞、International Session Encouragement Award、International Session Awardを受賞  続いて、4月22日のInternational Sessionにおいて、Award Candidateとして同君により論文発表以後の新しい研究成果が発表され、International Session Encouragement Awardが授賞された。
”Investigation of the antineoplastic effect of lovastatin on ovarian cancer using metabolomic analysis”と題した発表では、スタチン製剤の卵巣癌抗腫瘍効果についてマイクロアレイおよびメタボロミクス解析を用いて検討し、スタチンが細胞周期に関与しG1 arrestを引きおこしていること、Warburg効果に干渉しTCA回路の活性化に卵巣癌細胞株を誘導している可能性について報告された。さらに、この発表内容が特に優秀と判断され、Session winnerに授与されるInternational Session Awardが同君に授賞された。

小林佑介君(82期)が第68回日本産科婦人科学会学術講演会で優秀論文賞、International Session Encouragement Award、International Session Awardを受賞

 同君のこれまでの研究成果はすでに新聞各紙でも報道されているが、新しい研究成果も高く評価されており、今後も同君の卵巣癌に対するドラッグリポジショニング研究の成果が大いに期待される。
(71期 阪埜浩司 記)

2016.05.09

第68回日本産科婦人科学会学術講演会にて小野政徳君(79期)が優秀論文賞(生殖医学部門)を受賞

第68回日本産科婦人科学会学術講演会にて小野政徳君(79期)が優秀論文賞(生殖医学部門)を受賞

 平成28年4月21日から24日まで東京国際フォーラムで開催された第68回日本産科婦人科学会学術講演会において、産婦人科学教室の小野 政徳君(79期)の論文CD34 and CD49f Double-Positive and Lineage Marker-Negative Cells Isolated from Human Myometrium Exhibit Stem Cell-Like Properties Involved in Pregnancy-Induced Uterine Remodeling (Ono M, et al., Biology of Reproduction, 2015)が優秀論文賞(生殖医学部門)を受賞した。
 日本産科婦人科学会優秀論文賞は、周産期医学、生殖医学、婦人科腫瘍学、女性医学の4部門において、年間で国内外の科学雑誌に掲載された論文のうち、厳正な審査を経て最も優秀と判断された論文の発表者に授与される賞である。
 妊娠時に子宮は子宮平滑筋細胞の増殖と肥大により著明な増大を示し、分娩後は退縮する。このダイナミックな変化は、妊娠毎に繰り返されている。この一連の子宮の増大と退縮を担うものとして、子宮筋における幹細胞の存在が考えられていた。小野君の研究は、塾生理学教室との共同研究で、表面抗原を用いて幹細胞活性の高い集団を抽出し、妊娠子宮における幹細胞システムの存在を示した。現在では子宮筋腫等子宮由来疾患についても、幹細胞生物学の観点から病因解明を試みる研究が活発化している。この一連の子宮幹細胞研究のメインストリームとして、本論文は、独創性、新規性、および将来性が評価されて、受賞に至ったと思われる。
今回多くの候補者の中から同君が選出されたことは大変喜ばしいことであり、今後の研究のさらなる展開に期待したい。
(65期 丸山哲夫 記)

2016.02.12

第37回日本エンドメトリオーシス学会にて升田博隆君(76期)が演題発表賞(基礎部門)を受賞

第37回日本エンドメトリオーシス学会にて升田博隆君(76期)が演題発表賞(基礎部門)を受賞  1月23~24日に熊本で開催された第37回日本エンドメトリオーシス学会にて升田博隆君が演題発表賞(基礎部門)を受賞した。本年は40年ぶりの大寒波が九州から西日本に押し寄せるも、学会参加者は500人を超え盛会裡に終わった。
 日本エンドメトリオーシス学会は、子宮内膜症(エンドメトリオーシス)のエキスパートが一堂に会して、その基礎と臨床に関する成果発表と学際的な情報交換が行われる、子宮内膜症に特化した専門学会である。本賞は1999年に設立され、学術集会ごとに厳正な審査により一般演題より基礎部門と臨床部門に分けて選出される。

第37回日本エンドメトリオーシス学会にて升田博隆君(76期)が演題発表賞(基礎部門)を受賞  升田君は、レンチウィルスによる遺伝子導入にてルシフェラーゼを恒常的に発現する細胞を作製し、その細胞に磁気ビーズを接着させた上で免疫不全マウスの腹腔内に投与し、磁石により腹壁腹膜にその細胞を集簇・生着させた。その後、移植マウスにルシフェリンを投与し、体外から非侵襲的かつリアルタイムにルシフェラーゼの発光をとらえることで生着細胞の振る舞いを定量化できるシステムの作製に挑んだ。その成果が、高く評価されて今回の受賞に至った。本研究は、創薬開発における効果判定ツールとしても使用できるモデルとして期待される。
(65期 丸山哲夫 記)




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