2016.05.09
小林佑介君(82期)が第68回日本産科婦人科学会学術講演会で優秀論文賞、International Session Encouragement Award、International Session Awardを受賞
平成28年4月21日から24日の4日間にわたり、東京国際フォーラムで開催された第68回日本産科婦人科学会学術講演会において、教室の小林佑介君(82期)が3つの賞を受賞する快挙を達成した。
まず、4月21日の臨時総会において、Clinical Cancer Research誌に昨年度掲載された同君の論文 “Mevalonate pathway antagonist inhibits proliferation of serous tubal intraepithelial carcinoma and ovarian carcinoma in mouse models.” に対し優秀論文賞(婦人科腫瘍学部門)が授与された。優秀論文賞は、周産期医学、生殖医学、婦人科腫瘍学、女性医学の4部門において、年間で国内外の科学雑誌に掲載された論文のうち、厳正な審査を経て最も優秀と判断された論文の発表者に授与される賞である。同君の論文では脂質異常症の治療薬として使用されているスタチン製剤が卵巣癌の発生や進行を抑制する効果があることを動物実験で明らかとしていた。また、その効果はアポトーシスやオートファジーといったプログラム細胞死が関与しており、スタチンが抑制するメバロン酸合成経路の下流から枝分かれする部位が作用経路であることも報告されていた。
続いて、4月22日のInternational Sessionにおいて、Award Candidateとして同君により論文発表以後の新しい研究成果が発表され、International Session Encouragement Awardが授賞された。
”Investigation of the antineoplastic effect of lovastatin on ovarian cancer using metabolomic analysis”と題した発表では、スタチン製剤の卵巣癌抗腫瘍効果についてマイクロアレイおよびメタボロミクス解析を用いて検討し、スタチンが細胞周期に関与しG1 arrestを引きおこしていること、Warburg効果に干渉しTCA回路の活性化に卵巣癌細胞株を誘導している可能性について報告された。さらに、この発表内容が特に優秀と判断され、Session winnerに授与されるInternational Session Awardが同君に授賞された。
同君のこれまでの研究成果はすでに新聞各紙でも報道されているが、新しい研究成果も高く評価されており、今後も同君の卵巣癌に対するドラッグリポジショニング研究の成果が大いに期待される。
(71期 阪埜浩司 記)