大内初音君(102期)が若手優秀演題賞、高橋沙里君が優秀演題賞を第150回 関東連合産科婦人科学会 総会・学術集会において受賞
2025年10月11日~12日に行われました第150回 関東連合産科婦人科学会 総会・学術集会(宮城 悦子会長、パシフィコ横浜)において大内初音君(102期)が若手優秀演題賞、高橋沙里君が優秀演題賞を受賞しました。
大内初音君は「センチネルリンパ節生検で傍大動脈リンパ節転移を認めた子宮頸癌術前推定IA2期の一例」について発表を行いました。本学ではセンチネルリンパ節ナビゲーション手術(SNNS)を子宮頸癌、子宮体癌手術に本邦で先駆けて導入しております。不要なリンパ節郭清を省略し患者さんのQOL向上に役立ちますが、リンパ節転移をより正確に同定するウルトラステージングという利点もあります。本症例は術前IA2期推定の子宮頸癌において傍大動脈リンパ節にセンチネルリンパ節を認め、術中に転移陽性と診断されました。骨盤のセンチネルリンパ節にもミクロ転移を認め、従来の手術・病理診断ではリンパ節転移を同定することは難しかった可能性が考えられました。傍大動脈リンパ節まで含めた術後放射線療法を行い、SNNSが患者さんにより適した治療に寄与することを報告しました。
高橋沙里君は「子宮体部類内膜癌に境界悪性以上の卵巣腫瘍を合併した48例の検討」を発表しました。臨床においてはしばしば子宮体部と卵巣の双方に腫瘍を認めることを経験します。子宮内膜と卵巣に限局する低グレードの類内膜癌は予後良好であり、子宮体癌進行期分類FIGO2023ではⅠA3期が導入されましたが、重複腫瘍の予後については不明な点も多いです。子宮体部類内膜癌と境界悪性以上の卵巣腫瘍を合併した48例を後方視的に解析し、子宮体癌グレード3、および卵巣腫瘍の組織型が類内膜腫瘍以外であること、が独立した再発リスク因子であることを明らかにしました。この結果は子宮体癌と卵巣腫瘍の双方が低グレードの類内膜腫瘍である場合と、子宮体癌グレード3もしくは卵巣腫瘍が類内膜腫瘍以外の場合で生物学的性質が全く異なることを示唆しています。現在DNAレベルでの解析も進めておりますが、子宮体部・卵巣の重複腫瘍の病態解明に寄与する貴重な報告となりました。
大内初音君は後期研修1年目、高橋沙里君は東京医療センター所属の後期研修3年目であります。他の発表もレベルが高かったですが、発表にむけてしっかり準備し、質疑応答も二人とも完璧に答えたことが評価されたと思います。症例報告、後方視的解析を行うことは日々の臨床にも生かされます。これからの2人の益々の活躍を期待しています。
