木須伊織君(83期)が第37回日本内視鏡外科学会総会にて優秀演題賞を受賞
木須伊織君(83期)の発表演題が、2024年12月に開催された第37回日本内視鏡外科学会総会において、優秀演題として選出されました。
本賞は多数の演題の中から、特に臨床的・学術的に優れた発表に対して贈られるものであり、今回の受賞演題は「当院におけるMayer-Rokitansky-Küster-Hauser(MRKH)症候群に対する腹腔鏡補助下造腟術とその管理について」です。
MRKH症候群(ロキタンスキー症候群)は先天的に子宮や腟を欠損する稀な先天性疾患であり、女性にとっては思春期以降の性機能を含めたQOLに大きく影響することから、治療においては手術の技術のみならず、術後の継続的な管理も極めて重要です。本演題では、腹膜を利用して腟を形成するDavydov変法を基に、改良を加えた新しい腹腔鏡補助下造腟術の術式を確立するとともに、術後の腟短縮を防ぐための工夫、ならびにプロテーゼやダイレーターを用いたセルフケア指導など、長期的な予後を見据えた管理について報告され、高く評価されました。
木須君は女性生殖器の形態異常を有する患者の診察および手術に精力的に取り組んでいます。これまでにロキタンスキー症候群の患者を100名以上診察し、約40名に観血的造腟術を施行してきた経験を有し、慶應義塾大学病院は現在、国内有数の造腟術施行数を誇る施設として広く知られ、全国から多くの患者様をご紹介いただいております。また、当院では性分化疾患(DSD)センターを設置しており、木須君は婦人科の立場から、小児科・泌尿器科・小児外科・形成外科など他診療科と連携しながら、DSD患者に対する診療やサポート体制の整備にも多くの貢献を果たしています。
今回の受賞は、これまでの診療実績と技術の研鑽に基づいた成果であり、生殖器再建外科および女性のQOL向上に大きく寄与するものです。木須君のさらなる活躍と、子宮移植や子宮再生研究を含む次世代の生殖医療の展開に、引き続き大きな期待が寄せられます。
(79期 山上 亘 記)