母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査(NIPT)について
慶應義塾大学病院は日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会のNIPT施設認証で基幹施設として認定・登録されており、本検査を実施しています。
NIPTはどんな検査ですか?
母体の血液中にごく僅かに循環している胎児のDNA断片を母体由来のDNA 断片とともに次世代シークエンサーという遺伝子分析装置で解析します。
NIPTでは何がわかるのですか?
日本では、日本医学会の出生前検査認証制度等委員会の定める「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針・細則」により、検査対象はダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3種類です。
NIPTの特長は何ですか?
●胎児に与えるリスクがない
●検査精度が高い
●早い妊娠週数から検査ができる(妊娠10週以降)
NIPTはどういう人が受けられるのでしょうか?
従来、NIPTは対象となる疾患の発生頻度が高くなる以下の状態にある妊婦さんが選択肢として考えていただく検査と考えられています。
●高年齢の妊婦
●母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦
●染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある妊婦
●両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が 13 トリソミーまたは 21 トリソミーとなる可能性が示唆される妊婦
●胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された妊婦
しかしこれらに該当する妊婦さんが必ずしも本検査を受ける必要があるわけではありません。また、NIPTの対象としている疾患の発生頻度が高くない妊婦さんでも、妊娠中は多くの不安があります。不安がある場合にはまず遺伝カウンセリングを受けて、NIPTを受検するかを決めていただくことが大切です。
NIPTで注意することはありますか?
●NIPTは確定診断をつける検査ではありません。
●NIPTの陽性的中率は約90%です。
「陽性的中率」とは、ある病気のための診断検査で陽性と診断された人の中で、実際にその病気にかかっている人の割合のことを言います。たとえば、NIPTを受けて「ダウン症候群」が高リスクと判定された場合、そのような結果を受けた妊婦さんが10人いたら、9人はその後に確定診断を受けたらダウン症候群と診断がつきますが、1人はそうではない人がいることになります。
●検査で高リスク(陽性)と判定された場合には、その結果が本当に正しいかを確認するためには確定的検査である羊水検査や絨毛検査を受ける必要があります。
●検査結果が出ない(判定保留)場合があります。その場合、再採血あるいは羊水検査などの確定診断を受けていただくことをお勧めいたします。検査結果が出なかった場合の再採血は無料です(羊水検査を受検する場合にも羊水染色体分析の費用は無料となりますが、羊水検査手技料などは本人負担となります)。
NIPTの検査費用はいくらですか?
●検査費用は96,200円(税別)になります。
(別途、初診料+遺伝カウンセリング料 15,000円がかかります)
●NIPT陽性時の羊水染色体分析の費用は無料です。
(別途、羊水検査手技料、自費再診料がかかります)
どのくらいで結果が出ますか?
結果説明は2週間後になります。
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